★ガーゴイル★

「セシル、お前は本当にそれでいいのか」
バロン城の西の塔で、カインはセシルに詰め寄っていた。
ミシディアのクリスタル強奪作戦。
その任務が与えられた当初、バロン城の兵士達は王の考えに疑問を持って。
なぜ、平和を見出すようなことをするのだろうか。
しかし、赤い翼団長のセシルが王に従い、任務を遂行するとの意向を見せたことによって、皆は納得した。
しかし、カインは誰よりも平和を望んでいるセシルが、この任務へ1番最初に参加の意向を示すなどっ、何かの間違いじゃないかという思いが消えなかった。

「あぁ、陛下の命令は絶対だ。カインはなぜ、陛下を疑うようなことを言うんだ」
こともなげにセシルは言い返した。
確かに、陛下の言葉に疑問を持つことは許されていない。
「陛下へ不信感を持っているわけじゃない。しかし、俺にはどうも、これは略奪行為に思えてならない」
食い下がるカイン。
「しかし、ミシディアはクリスタルの秘密を知りすぎたと陛下はおっしゃっている。恐らく、クリスタルを使って、何か良からぬことを企んでいるんじゃないか」
「良からぬこと?あのミシディアが?」
カインの口からミシディアと聞くと、セシルの頭には痛みが走った。
頭を押さえて、ふらつくセシル。
「おい、どうした」
体勢を崩すセシルをカインが支える。
「いや、なんでもない。それより、訓練に戻らないと・・・」
青い顔をして、部屋から出て行こうとするセシルをカインは訝しげに眺めていた。

カインがセシルの部屋へ訪れた前の日の夜、セシルはまた王に呼び出され、寝室へ来ていた。
王がセシルの耳元で囁く。
「セシリア」
この言葉を聞かされると、途端にセシルの思考は遮断され、王の意図のままに操られるようになっていた。
この日も、王はその言葉を口にし、セシルから意識を奪い取った。
セシルの体は豪奢なソファに沈み込む。
セシルの周りをメイドが囲い込み、服を脱がせると、王が用意させた他の衣装に取り替える。

王は再びセシルの耳元で囁く。
すると、セシルは目を覚ました。
王に促されるままに、姿見の前に立つ。
セシルは自分の姿を捉えた。
しかし、これが自分の姿だっただろうか?
鏡に映ったのは、髪を腰まで伸ばした女性の姿だった。銀色の髪が鈍い光を放っている。
羽織っているのは白いレースに彩られたワンピースだった。
女性?男性?セシルは自分のことを思い出せずにいた。
「セシリア」
王が呼びかける。
「美しいセシリア」
王の手がセシルの髪を撫でる。
後ろから抱きしめるように手を回し、鼻先を長い髪に埋めた。
セシリアの髪。

その懐かしい感触を楽しみながら、王は夢想に浸っていた。
生前、貧しかったセシリアは自分の髪を切り、鬘屋へ売っていた。
セシリアは王の援助を断り、自分で生計を立てようとしていたのだ。
しかし、王は鬘屋へ手を回し、店主に裏金を渡すと、セシリアの髪を城へ届けるように言い付けた。
集めた髪はガラスケースに入れられていた。
セシルを森で見つけてからは、いつか、この髪をセシルにつけさせるために、鬘として誂えさせていた。
本物のセシリアの髪。

王はベッドに自分の体を横たえると、セシルに、自分の上に跨がるよう促した。
セシルは朦朧とした意識の中、その命令を聴き入れ、レースのワンピースを捲くり上げながらベッドに乗る。
仰向けになっている王の腹の上に乗る。
王はセシルを見上げながら、その体を優しく撫でた。
レースの裾から手を入れると、腿を撫でる。
内腿を撫であげられると、セシルはピクリと反応した。
そのまま後孔へ手を伸ばす。
最初は蕾を撫でるように愛撫し、ゆっくりと指を中に入れて行く。
いたわる様な愛撫。
中を探られ、拡げるように掻き混ぜられると、セシルの蕾は綻んできた。
「はぁ・・・」
セシルも気持ち良さそうにため息をつく。
王は自分のものを軽く梳き上げると、セシルをその上に据わらせた。
セシルの手を自身に導き、それを胎内に埋め込むように促す。
セシルは腰をゆっくりと降ろして行く。

全てを収め、中を埋め尽くすその質量を、セシルが噛み締めているのを感じ、王はセシルの細い腰を満足げに撫でた。
セシルの太股を両手で掴み、小さく揺さぶる。
中をこねられ、セシルが声を上げた。
王の要求に応えるように、セシルは腰を使い出す。
前屈みになり、腰を上下に動かすと、セシリアの髪が王の胸に垂れた。
王には、その銀色の髪が、天蓋のように見えていた。
滑らかな絹糸のような髪が、胸をくすぐっている。
自分を覆い尽くす、月のカーテン。
セシルは背を反らすと、達した。
ピクピクと跳ね回る腰。
月の女神を快楽に陥落させたような達成感に、王は酔いしれていた。
王はセシルを押し倒すと、今度は自分が上になり、腰を振るいはじめた。
髪はベッドカバーの上に散らばる。
空中を自由に揺れていた銀は、地上に縫い付けられた。
女神を月から引きずり降ろし、自分に屈服させたような陶酔。
セシルの内部に、熱いものを放つ。
息を弾ませながら、王はセシルの耳元で、囁いた。
「セシリア、ミシディアへ行きなさい」
その命令はセシルの心の奥深くへ到達した。
明日になれば、今の出来事は忘れてしまう。
しかし、この言葉だけは刷り込みのように、セシルの内部に残った。

セシルは自室を後にし、廊下を歩きながら、追いつかない思考を必死に働かせていた。
頭痛が後を引く。頭に穴が開いてしまったかのような鋭い痛み。
カインとは兵学校時代から任務を共にしていた。
陛下の命令に従い、成果を挙げることに必死になっていた。
しかし、どうして、カインはここにきて陛下に逆らうようなことを言い出したのだろう。
ミシディアのクリスタル。
なぜ、城の兵士達は執拗に、この作戦へ反対しているのだろう。
考えようとすると、意識は混濁していった。
この任務は必ずやり遂げなければならない。
その考えだけが頭の中を埋め尽くした。
なぜやらなければならないのか。
そるはわからない。
しかし、大きな使命感がセシルの背中を押していた。

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