★陸兵隊★

セシルは兵学校を卒業後、陸兵隊に所属することを希望した。
そして、その希望は受諾され、セシルは晴れて陸兵隊の二等兵となった。
陛下からは兵団に属することを勧められたが、セシルは陛下の庇護の下から早急に出て行こうと決めていた。
これでようやく、バロンの雑兵として、一人の人間になれる、セシルは安堵していた。
辛い陸兵隊の任務の中でさえ、初めての自由に、セシルの心は躍った。
カインの方でも、セシルと陛下の生活を二人に気づかれず知ってしまっていたため、セシルが自由となり活き活きと行動できることはうれしかった。

カインとセシルは会う機会が極端に減ってしまっていた。
もうかれこれ1年は顔を合わせていない。
その時、陸兵隊と竜騎士団は合同任務にあたることとなった。
飛空挺団が出来る少し前、空から攻撃を仕掛けられる竜騎士団と、強力な戦車を持つ陸兵隊は力を会わせて戦うことがまれにあった。
任務を共にできることを歓び、カインは久しぶりにセシルを訪ねた。
セシルの部屋のドアを開けると、浮かない顔をしたセシルが武器の手入れをしていた。
その体は最後に会った時よりも酷く痩せてしまっていた。
晴れ晴れとした顔をして、陸兵隊に入れることとなったと告げに来た面影はほとんど無かった。
「・・・セシル・・・」
その様子に、カインはかけるべき言葉を見失ってしまった。
セシルはドアが開いたことに気が付きもせず、突然声をかけられ、驚いて顔を上げた。
「・・・カイン、久しぶり・・・」
セシルはカインを見た。
竜騎士団長に任命されたカインは伸びやかに成長し、精悍さを備えた立派な青年となっていた。
以前より高かった身長も更に伸びている。
輝くばかりのカインを、セシルは眩しそうに眺めた。
「もうすぐ同じ任務に就くと思って、久しぶりに会いたくなったんだ」
カインが努めて快活を装う。
「あぁ、聞いたよ」
セシルも無理矢理笑顔を作り、それに応じた。
この1年間何をしていたか、語り始める。
積る話をすると、あっという間に夜は更けて行った。

任務当日。
飛来してくるズーやダイブイーグルの群れを陸兵隊と竜騎士団で攻撃していく。
モンスターたちは何かに操られているかのように、バロンへ押し寄せてきた。
長時間に及ぶ戦闘の末、魔物の群れの姿は空に見えなくなった。
休戦の指示が出ると、それぞれ野営地へ引き揚げて行った。

二等兵のセシルは、上官たちのいるテントへ静かに入って行く。
同僚たちがそれを憐みと情欲の混ざった目で追う。
セシルは少し俯き、耐えるような表情をしている。
「遅かったな、お嬢ちゃん」
テントの入り口に屈強な隊長が立って、セシルを待ち構えている。
セシルは隊長の方へ眼を向け、敬礼をすると、テント内に入った。
―結局、陛下の下を離れても、僕は自由になれなかった―
セシルが落ち付きの無い顔をして、立ち尽くす。
―どうか、カインがここに来ませんように―
貴族ばかりの竜騎士団が陸兵隊のテントに来るとは到底思えない。
セシルは自分を安心させようとしていた。
上官がニヤニヤした目つきでセシルを眺める。
セシルは歯を食いしばり、着ているものを脱いだ。

全て脱ぎ棄ててしまうと、まずは隊長の前に膝まづき、口で奉仕を始める。
この一年間で嫌というほど教え込まれたその行為に、今のセシルは慣れ切ってしまった。
嫌悪感は抜けないが、どうすれば早く終わるのかがわかっているし、抵抗したところで痛い目を見るだけということは、すでに肌身に思い知らされていた。
口を大きく開けて、それを頬張る。
隊長以下の上官たちはその様子に釘づけになる。自身を取り出して、自分で慰める者もいる。
副隊長が前に進み出ると、潤滑油を取り出し、四つん這いになっているセシルの後ろにふれてくる。
武骨な指に油を絡め、蕾に塗り込める。
セシルは身を固くするが、力を抜いてそれに応じる。
指が一本入ってくる。
「・・・ふっ・・・・んぅ・・・」
ナカを広げられながら、喉を突かれ、セシルが苦しそうに呼吸をする。
二本の指が胎内を掻きまわしている。
乱暴な手つきにセシルの額には汗が滲む。
「・・んっ・・・はぁ・・・あっ・・・」
後ろからくちゅくちゅという音が響き渡る。
隊長のそれも余裕がなさそうに張り詰め、終わりが近いことを告げている。
「・・・くっ・・・」
セシルは頭を押さえつけられると、喉の奥に吐き出される。
「・・・んくっ・・・んんっ・・・」
目尻に涙を浮かべながら、それを飲み下す。

副隊長は荒い呼吸を繰り返すセシルから指を引き抜き、セシルの体を仰向けにした。
隊長は自身を梳き上げ、再び育て上げる。
セシルは副隊長に膝の裏に手を差し込まれ、隊長に全てを晒す格好を取らされる。
隊長はセシルの蕾に自身を押し当てると、凌辱を始めた。

その頃、カインは陸兵隊の隊長に酒を届けに来ていた。
陸兵隊と竜騎士団は仲が悪い。
貴族ばかりの竜騎士団をお高く止まっていると敵視している者が多い。
他の騎士団との間柄が悪いと、大きな戦闘をする場面に差し支えてしまう。
カインは自分が団長となってからは、バロン中の兵団と和解しようとする動きを見せていた。
手土産のワインを持ち、竜騎士団の野営地を後にする。
陸兵隊のテントのそばまで来ると、大きな笑い声と叫びのようなものが聞こえてきた。
すでに宴会が始まっているのだろうか。
異様な熱気が一つのテントから伝わってくる。
隊長格のいるテントだけ色が異なっている。
カインは歩を進めると、テントの中の声が徐々に大きく聞こえてきた。
何か野次が飛ぶ声、そして、叫びとすすり泣きのような声も聞こえてくる。
下等兵を私刑にしているのだろうか。
何か不正行為が行われている場合、自分はそれを処罰する権利を持っている。
カインの正義はうずく。しかし、これで陸兵隊と竜騎士団の溝は更に深くなるだろう。
一瞬立ち止まり、ため息をついた。
そして、テントの入り口の布を捲り上げる。

「あっ・・・あぁ・・・ん、んぅ、ふ・・・う、あ、あっ」
そこには泣き叫ぶセシルがいた。
後ろから一人の男に突きあげられ、顔の前には二人の男が立ちふさがり、二本のものを同時に舐めさせていた。
「も、もう・・・あ、や・・・あぁ・・・う、うあ・・・」
激しく揺さぶられる度に、セシルの口からは精液が零れる。
カインはその光景を見て、絶句した。
そして、燃えたぎる様な怒りに頭が真っ白となり、テントの中へ突進し、持っているワイングラスをセシルの前に立ちふさがっている男の頭上に振り下ろした。
ガシャッという大きな音が立ち、辺りが騒然とする。
頭を血まみれにする上官の姿が目に入る。
そして、カインは帯刀していた刀を抜き、隣の男を斬りつける。
あまりの出来事に動転した隊長は、セシルの胎内から出て行くと、カインに刀を振り下ろされ、男根を切り落とされた。
「うわああああぁぁ」
絶叫が響き渡る。
セシルはその場に崩れ落ち、カインが刀を振る様子を眺めた。
視界が霞んでしまっている。
テントの内部には血が滴り、カインは返り血で青いローブを赤黒く染め上げていた。
怒りに漲らせたカインの鋭い瞳。
辺りが静まり返ると、カインは刀を収め、セシルにマントをかぶせ、抱きあげた。

どこもかしこも白濁で汚しているセシルの方を見ないようにして、カインは歩き去った。
竜騎士団の野営地に戻る。
カインは団長専用のコテージを一人で使っていた。
近くの湖までセシルを運び、水の中に降ろしてやる。
セシルの瞳は潤み、情事の生々しさを伝えていた。
何か薬を盛られているのか、頬は上気して、体が燃えるように熱い。
「・・・カインッ、ごめ、ぼ、ぼく・・・」
マントに縋りつくように、カインから体を隠す。
「一人でできるか・・・?」
カインが尋ねると、セシルは勢いよく頷いた。
こんな姿をカインに晒しているのが辛かった。
それを察したカインは静かにその場を離れた。
セシルはしばらく、水の中で放心していた。
カインが入ってきて、自分を助けてくれた時、もしかしたら、カインとそういう仲になってしまうかもしれないと思った。
―カインとだったら―
セシルは思っていた。
しかし、カインとだけはその一線を越えてしまいたくなかった。
カインにだけは、陛下や上官達がしたように、自分に触れて欲しくなかった。
セシルは自分を律するように冷たい水を顔にかける。
そして、高められてしまった自分を慰めるために下肢に手を伸ばした。

カインはセシルが自慰に耽る気配を背中に感じながらコテージへと引き上げて行った。
マントに包んだセシルを運んでいる時、情欲のままセシルを組み敷いてしまそうになる自分を抑えることに必死だった。
今のセシルを屈服させることはわけもない。
しかし、それをしてしまったら、今度こそセシルとは永久に顔を合わせることはできない。
セシルを守りたい。しかし、壊してしまいたい。
「・・・ッ・・・」
後ろから響いてくる、セシルが息を飲んだような気配。
カインはコテージの中に入ると、張り詰めてしまった自身を慰めにかかった。

数時間後、カインはセシルを迎えに行く。
ずぶぬれのマントを羽織って、セシルは震えていた。
カインは何も言わずにバスタオルをかけると、コテージに引き入れる。
「俺はソファで寝るから。お前はベッドで休め」
ポーションを渡し、カインはソファの上で毛布にくるまり、背を向けた。
セシルは掠れた声で「ありがとう」と呟くと、ベッドの中に丸まった。
カインの匂い。
そう思うと、セシルは安心し、一粒の涙を流すと眠りについた。

★☆★☆
カイセシ展開はまだずっと先です

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