★校則違反★

セシルは校則違反の罪で、罰せられることとなっていた。
生徒総監のカインがセシルの罪状を問いただしている。
「セシル、本当にお前がやったのか?」
「はい、そうです」
他の生徒が見守る生徒総監室の中で、セシルが言う。
「誰かをかばっているんじゃないのか。お前がそんなことをするようには思えない」
「いいえ、全て僕の責任です」
カインはため息を吐くと、罰則用の鞭を取り出した。
「強情張るなよ。俺はお前を罰しなければならなくなるんだぞ。本当にお前なのか」
「はい」
野次馬達がヒソヒソと囁き合っている。
ハイウィンド卿はなぜセシルに情けをかけようとするのか。
セシルはきっと無実だろう。
コソコソとやっているが、みんなセシルが鞭打たれる所を見たいのだ。

事の次第はこうだった。
次の授業の準備をするため、セシルは教室に資料を運び込んでいた。
一人で教壇に設置作業をしていると、何人かのクラスメイトが教室へ入ってきた。
セシルの姿を見ると、そのうちの一人が目配せをした。
「セシル、あの噂、本当なのか?」
意地の悪そうな目つきをして、セシルに問い質す。
「お前が、バロン王のお稚児さんって話」
無視を決め込もうとすると、顎を掴まれ、顔を向けせられる。
「何を言っているんだ。そんなこと、あるはずがない」
毅然とした態度で、セシルは否定する。
生徒はヒュウと口笛を吹くと
「怖い顔をするなよ。ご自慢の美貌が台無しだぜ?」
そう言って、セシルを羽交い締めにする。
「何するんだっ」
自由を奪われ、セシルが慌てる。
「本当かどうか、服を脱がせてみればわかるだろう」
リボンタイに手をかけられる。
セシルは真っ青な顔をして暴れた。
「やめろっ・・・」
ありったけの力で生徒を振り切ると、その様子にムキになった生徒がセシルの体を薙ぎ払った。
セシルの体は倒れ込む。
その拍子に、教壇に置かれていた花瓶を割ってしまった。
がしゃんと音を立てて、花瓶が粉々になる。
陶器に職人が文様を施した高価な花瓶だった。
生徒たちは静まり返る。

こうして、セシルは尋問にかけられることとなった。
本当のことを話すこともできたが、あのくだらない噂のために、自分がこのような目にあったことは言いたくなかった。
セシルは覚悟を決めて、カインに罰せられることを選んだ。
「では、ブラウスを脱げ」
「・・・ハイ」
兵学校では罪を犯したものには、背中に鞭を10回うけることとなっていた。
セシルがリボンタイを解き、ブラウスを脱ぐ。
白い肌が露わになると、野次馬たちからは歓声が上がった。
総監室の机の前に手をつき、セシルが膝を折る。
「行くぞ」
カインは鞭を構えた。
野次馬の視線がカインの鞭に一斉に集まる。
そして、鞭が振り下ろされる。
ピシッという厳しい音が響く。
打ち据えられ、セシルの肩が震える。
そして、悔しそうに唇を噛む。
「1・・・2・・・3・・・」
少しの間を開けて次が振り下ろされる。
セシルの背中は赤く色づいてきた。
「ふっ・・・・クッ・・・」
机を掴んでいるセシルの手に力が入る。
痛いのだろう。
カインは陛下に打ち据えられていたセシルの姿を思い出していた。
自分もまさかセシルを打つこととなるとは思わなかった。
あの時のセシルの苦悶の表情は美しかった。
それを間近で見られることとなった。
「4・・・5・・・6・・・」
セシルの肌が蚯蚓腫れに覆われる。
この白い肌に傷を付けているのは、まぎれもなく自分だ。
「・・・ッ・・・・あ・・・・あぁ・・・」
セシルの唇から、声がこぼれ出す。
その声は喘ぎのようにも聞こえた。
まるで、セシルは官能を感じているように、カインの鞭を受け入れた。
セシルの声を聞き、野次馬達はヒソヒソ話をやめて、その光景に見入っている。
生唾を飲み込む音。
どいつもこいつも、前を膨らませているのだろう。
カインはその気配を背に感じていた。
「7・・・8・・・9・・・」
「ん・・・うぁ・・・あぁ・・・」
セシルの背が仰け反る。
「10」
「・・・あぁ・・・」
とうとうセシルが崩れ落ちる。
前に倒れ込む。
あの後、陛下はセシルを・・・。
カインはセシルを犯してしまいたい欲望に駆られた。
いけない。そう思いなおして、セシルを抱き起こす。
「大丈夫か・・・?」
セシルは苦しそうに眉を寄せ、痛みに耐えている。
固く閉じていた瞳を開き、カインを見つめる。
涙の浮かんだ瞳がカインに縋りつくように見つめている。
そして、安堵の表情を浮かべて、カインに体を預ける。
今のセシルは触れたら壊れてしまいそうに見えた。
セシルは自分を信頼している。
そう思うと今にもこの場に押し倒して、屈服させ、その体を貪ってしまいたい劣情に駆られる。
セシルは泣き叫びながら、許しを乞うだろう。
陛下にしたように。
カインはその想いを掻き消すと、セシルのブラウスを拾い上げ、羽織らせた。
背中がブラウスに覆われる。
見世物は終わった。
野次馬が散っていく。
みんなトイレにでも駆けこんでいるのだろう。
カインは無言のセシルの体を抱きかかえるようにして、その場を後にした。

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