★賽は投げられた★

すまなかった、そう言ってセオドールがセシルに頭を下げる。
セシルはセオドールにヴァンパイアとなったことやその経緯などを聞かされていた。
全く驚いた様子を見せないセシルに、セオドールは少し安心していた。
そして、冷静な瞳をして自分に頬笑みかけているセシルに甘え、罪の意識から遠ざかろうとしている自分を恥じた。
「よかった」
セシルは満足そうに言った。
よかった?思いがけないセシルの言葉にセオドールはようやく顔を上げた。
「兄さんが僕を避けてたのは、僕のことが邪魔なんだからだと思ってた」
はにかむようにセシルが言う。
「違う。お前を貪ってしまいそうで、恐ろしかったのだ」
セシルはセオドールの胸に額を寄せた。
「兄さん。僕はずっと、兄さんのことを想っていたよ」
セオドールの逞しい腕を撫でながらセシルは言った。
「兄さん、キスしてもいい?」
潤んだ瞳で見上げながらセシルが聞く。
セオドールは少しためらいながら、その唇に口づけた。
触れるだけのキス。
セシルは離れて行くセオドールの唇に少し焦れて、不満そうにする。
「違う。僕がしたいのはこんなんじゃない」
セオドールにのしかかる。
「兄さんの、もうこんなじゃないか」
大胆にセオドールをまさぐりながら、セシルは熱いため息をつく。
「セシル・・・よせ・・・」
少し掠れた声でセオドールが制止にかかる。
「なぜ・・・?」
腕を掴まれたセシルは肩を震わせながら言った。
「何を躊躇うの?僕たちにはもう何も気にすることなんてないじゃないか。他人も、教会も、僕たちには関係ない」
セシルはセオドールの頬を両手で包んだ。
「もう神様も、時の流れも、何も僕たちには追いつけない」
まっすぐなすみれ色の瞳がセオドールを見つめる。涙で輝いた瞳は強い意志を秘めていた。
美しい瞳。
セオドールも震えながら、セシルの頬へ手を回す。
そして、再び口づけた。今度は深く。殊更深く。
セシルの咥内にセオドールの舌が入り込む。
舌を絡められ、根元を吸い上げられると、セシルが切なそうに声を上げた。
「ふぅっ・・・ぅん・・・」
歯列をなぞられ、セシルは顎を震わせて堪える。
セオドールが唇を離すと、二人を透明な糸が繋ぐ。セシルはすっかり骨抜きにされてしまった。
二人はお互いの服を脱がせにかかる。
セオドールの露わになった逞しい胸板を、セシルはうっとりとした表情で見つめる。
その首筋にセシルが口づけて行く。
くすぐるようなもどかしさ。
今度はセオドールがセシルを押し倒し、白い首を舐め、鎖骨に口付けると、胸の突起を口に含む。
「はぁん・・・兄さん・・・」
突起を舌でねぶられる。反対側を指でこねられると、セシルは身をくねらせた。
色付き、芯を持ち始める。
セオドールはセシル自身に手を伸ばした。
そこは既に濡れてセオドールを待ち構えている。
「あっ・・・・はぁ・・・・」
突起を吸い上げられながら、そこを梳かれるとたまらず、セシルが声を上げる。
セシルのそこは溢れだし、後孔までしとどに濡らした。
梳き上げる手を止めて、後ろに手を伸ばして行く。
蕾を撫でられると、ソコはきゅっと窄まった。
ゆっくりと指を埋めて行く。中指を根元まで埋められると、セシルは甘いため息を漏らした。
中を広げるようにかき混ぜて行く。指を小刻みに動かしながら、セオドールはセシル自身を口に咥えこんだ。
「ああ、あぁ・・・んぅ・・」
舌で愛撫されると、セシルはセオドールの口に放ってしまった。
「あっ、兄さっ、あぁ」
中が引き絞られる。
セシルの出したものを指にからめ、さらに馴らしていく。
セシルの弛緩した体はセオドールの指に開かれていった。
「兄さん、もう来てぇ・・・」
3本の指を受け入れているセシルのそこは、快楽の予感にひくついている。
そこにセオドールのものが宛がわれる。
待ち焦がれたもの。
セシルはセオドールに貫かれる夢を見たことさえあった。その甘美な夢を思い出して、セシルの頬は羞恥に染まった。
こんな浅ましい僕を、兄さんは受け入れてくれる。
切先がめり込む。
「あぁ・・・」
それだけで、セシルの爪先は丸まった。
セオドールの方でも、セシルを欲望で引き裂く夢を見ていた。夢の中で悶えるセシル。
その夢想が肉感を伴う現実となった。
自身を根元まで埋め込むと、セシルの内壁は熱く絡みついてくる。
気の遠くなるような快楽を二人は味わっていた。
脚を大きく開いたセシルからは、貫かれているその部分がよく見えた。
―あぁ、兄さんが僕の中に―
セシルは思わず手を伸ばし、セオドールのそれに触れた。
セシルに愛撫され、セオドールは低く呻いた。
たまらず、腰を使いだす。
「はぁん、兄さん、んっ・・あぁ・・」
セシルを気遣うように、ゆっくりと。
とめどない快楽がセシルを襲う。
「あぁ、はっ・・あ、あぁ」
じわじわと湧きあがる快感にセシルが2度目の白濁を放った。
腰が跳ねるように痙攣する。
セシルの息が整うと、セオドールは今度は激しく腰を振るった。
「あん、あっ、あ、、んぅ、あぁ、はっ、んっ、はあん」
打ち付けらる度に、強烈な快感が駆け巡る。セオドールの逞しいものが出入りする。
いつも冷静な兄が快楽に上気した顔で自分に覆いかぶさっている。
ひと際奥に突き入れられると、中でそれが弾けるのを感じた。
「ああぁ!」
熱い奔流が体を満たす。
セシルはシーツに沈みこんだ。セオドールもセシルの上に倒れ込み、息を弾ませる。
目尻から涙を流すセシルはセオドールの髪を掴み、キスを強請った。
再び絡み合う舌。
セオドールは健気なセシルの様子を見ると、中に挿れたままのそれが再び力を取り戻すのを感じた。
再び律動を開始させる。
二人は明け方まで貪り合うように交わった。

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