★死の接吻★

セシリアの部屋を見てしまってからも、王とセシルの関係は今まで通り続いた。
王に寝室に招き入れられれば、セシルはそれに応じた。
それに、セシリアと王の因果関係、セシリアと自分との関係を、幼いセシルは理解できなかった。
それはただ恐ろしい秘密だとしか認識できなかった。
それ以上深く言及しないこと。それがセシルが己で定めた方針であり、自己防衛でもあった。

陸兵隊で鍛錬を積んだセシルは、暗黒騎士志願者受付の張り札を眺めていた。
陸兵隊にとって、暗黒騎士となることは、数少ない出世の道の中の最たるものだった。
これに志願できるということがもっともな名誉だ。
同期たちは、張り札を神妙な顔つきで眺め、この隊で、暗黒騎士候補の名誉にあずかれるのは一体誰なのかという話で持ち切りになっていた。
その中での有力候補はもちろん、セシルだった。
セシルと王の関係を卑下た言葉で吹聴する者がいたが、同じ隊の中で戦ってきた者たちは、セシルの実力を知っていたので、誰もセシルを悪く言う者はいなかった。

王はセシルを食事に招き、暗黒騎士に志願するかどうか、セシルの胎を探っていた。
セシルにとっても、暗黒騎士となれることは名誉なことであったので、候補生になれるのであれば、何としてでも志願したかった。
王の言葉の節々には、暗黒騎士となることをセシルに促すように、もう既に内定が決まっているかのような雰囲気が漂っていた。
そこまで念を押さなくても、暗黒騎士候補から逃げるような真似を自分がするはずもない、とセシルは王に誠意を見せたかった。
今まで、王がセシルに何かをさせる時、セシルの意見など聞いたことはなく、内々で既に作業は進行し、準備が整った段階で、セシルを呼びつけ、それをするようにと言うだけだった。
セシルは自分の意志を働かせる間もなく、王の手はずで整えられた道を歩かされていた。
ここにきて、どうして、自分の考えを訪ねるようなことをするのか、セシルはそちらの方が気にかかった。

「もちろん、志願するつもりです」
そう応えると、王は安心したように頷き、食事会が始まってから、気がそぞろだったせいで、手つかずだった皿にナイフとフォークを走らせた。

その夜、王は大きな鏡台の前にセシルを立たせた。
一糸まとわぬセシルの姿を見聞していた。
暗黒騎士となったら、この体に孔を打たなければいけない。
その前に、この滑らかな肌を堪能しようという心積りだった。
セシルは自分に意見を求めたのは、体に傷が付くせいだったのか、と納得した。

ランプのほのかに明るい光が、セシルを照らしている。
神妙な顔をして自分を隅々まで見ている王の視線が、セシルは少し恥ずかしかった。
王はセシルの後ろに立ち、セシルの長い髪を掻きわけ、露わになったうなじに唇を落とした。
そのまま背骨を辿り、王の唇が下へ落ちて行く。
胡蝶骨の起伏に手を這わせる。
しなやかな筋肉に支えられた肉体。揉みほぐすように、背中からわき腹へ向かって、手を撫でおろす。
セシルはこの優しく念入りな愛撫に熱いため息を漏らした。

王はセシルにこちら側を向かせ、今度はセシルの正面に立った。
セシルの唇に接吻する。柔らかな唇の感触。
そのまま首筋に移動し、鎖骨を吸い上げた。
「はぁ・・・」
セシルの官能は十分すぎるほど目覚めさせられていた。
「んっ・・・んあ・・・」
王の唇が鎖骨から、胸の突起へ移動すると、セシルは抑えきれない声を上げた。
「あぁ・・」
突起を啄ばむように口付けたあと、王は舌をのばし、それを舐め上げた。
柔らかな粘膜に包まれ、セシルの突起は堅く尖って行く。
「んふっ・・・あぁ・・・」
もう片方の突起を指でいじられると、セシルは体をねじり、快楽から逃れようとする。
王はさらに唇を落とし、臍の中を舐めた。
セシルの脚は震え、立っているのもままならない。
王はセシルをベッドに促す。
痛いほど立ちあがっているセシルのものに手を掛けた。
「はぁ・・んっ・・・」
始めはゆっくりと梳き上げ、徐々にペースを上げて行く。
先端に爪を立てられ、セシルが達する。
セシルの呼吸が整うと、脚を広げ、秘部を露わにした。
セシルの放ったもので濡れた指で、蕾を撫でる。
そこは既に息づき、撫でる度にひくひくと開閉を繰り返している。
そっと、中指をくぐらせた。
「ん・・・」
抜き差しを繰り返しながら奥へ進んで行く。
その間にも真っ白な腿に唇を這わせ、花弁を散らして行く。
脚の付け根を舐め上げられる度に、セシルは腰を揺らした。
「あぁ・・・あ・・・」
2本の指で、セシルの中を探るように解して行く。
セシルがいつも感じるところを撫で上げると、セシルは堪らず、声を上げた。
「あっ、あぁ・・あ、はぁ」
セシル自身からはとめどなく蜜が零れ落ちる。
後孔まで溢れてくるそれを舐められると、セシルはひと際大きく声を上げた。
指を引き抜き、王は己を宛がう。
指とは比べ物にならない圧迫感。セシルは今までに何度もそれを感じながらも、その感触に慣れないでいた。
少し怯えたような顔をして、衝撃に耐えるその表情は、王の嗜虐心に火を付ける。
健気に王を飲み込む蕾を王は愛しげに撫でる。
敏感な個所を撫でられ、セシルの腰がぴくりと反応する。
王は腰を使い、セシルを更に追い詰めて行く。
「あぁ・・・はぁ・・ふっ・・・あぁ」
セシルの悦所に当たるように切先を向ける。
「ああ!・・あ、はぁ、あん」
腰を打ちつけながらも、王の手はセシルの腹や胸を這いまわる。
セシルの肌を惜しむように。
鎖骨を舐められ、尖った乳首をこねられると、セシルは涙を流しながら善がった。
強く突起をつままれると、セシルはとうとう欲望を放った。
目もくらむような快楽にセシルは気絶する。
王もセシルの中に放ち、セシルの上に倒れ込んだ。
自分の中から王が出て行く感覚で、セシルの意識は蘇った。

王はセシルをうつぶせにさせ、膝を立てるように言った。
従順にセシルは従う。
獣のように腰を突きだす格好をすると、さきほど王が出したものが蕾から溢れてきた。
白い腿を伝って落ちて行く。
痙攣したようにひくつく後孔を自らの切先で突き、その反応を楽しむ。
セシルは脚を伝う感触が、なんとも恥ずかしく、シーツを手でぎゅっと掴み、次に来る衝撃に耐えていた。
王が再度、自分の中へ入ってくる。
2度目は激しく。叱責しているかのように、セシルの尻へ向かって、王は腰を打ちつけた。
「ああっ、あ、はぁん、んぅ、ああ、あ」
セシルはシーツに額を押しつけるようにして快楽に耐えている。
何度も出し入れされ、蕾からは泡立った白濁が溢れる。
王はセシルの背中へ頬を寄せた。
きめ細かい肌。
「あぁ、もう・・あぁ、お許しを、あ、あ、ダメ」
過ぎる快楽にくねる腰を止められず、セシルは懇願する。
セシルが逃げようとすると、その分、王はセシルを追い詰め、さらなる快楽を与えた。
「ああ、ふぅ・・あぁ、ああ!」
王はセシルのうなじに噛みつきながら、両手をセシルの乳首にまわした。
ピリッと感じた痛みで、セシルは達した。
全てを搾り取られるような激しい締め付け。王も堪らずに欲望を放った。
セシルの中に全てをぶちまけ、浅く抜き差しを繰り返す。

セシルは気絶し、起き上がることができなかった。
王はさすがにやり過ぎたかと思い、自身を引き抜いた。
蕾は酷く荒らされ、その周りには白濁がこびりつき、飛び散っている。
抜き去った後も、しばらくは閉じきることができず、弱弱しく開閉を繰り返している。

王は今までもセシルに残虐なほどの仕打ちをしてきた。
セシルの表情を見ると、己を抑えることができなかった。
王はセシルの髪を撫でると、
「お前にはすまないことばかりしてきた」
そう言って、額に口付けた。
「お前を騙し、お前を傷つけることばかりしてきた」
王の体の下で、薄い胸が上下している。
セシルがしっかりと呼吸を繰り返していることに、王は安堵していた。
「すまない、セシル。私を許しておくれ」
王の瞳には涙が溜まった。
「それなのに、私はお前を、悪魔に売り渡そうとしている」
許しておくれ、許しておくれと呟きながら王は顔を覆った。
意識の無いセシルの顔は青白く、その整い過ぎた容貌はこの世のものとは思えなかった。
ベッドに横たわるセシル。王は一瞬、セシリアと判断がつかなかった。
それを見て、王は未だに揺らぎそうになる自分の心を戒め、決意を固めた。
「これが最後だ。私の犠牲になっておくれ」
眠り姫のように横たわるセシルの唇に、王は自らの唇を重ねた。

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