★経済大国ダムシアン★

繁栄するギルバートの話。

ダムシアンって商業大国なんですね。
観光と芸術しか能の無い滅びの国ギリ(強制終了)みたいな国かと思ってました。

商業国家のため、お金を稼ぐことが非常に上手なダムシアンですが、軍事の方はサッパリ。
王子として生まれたギルバートは争いも嫌いでしたが、商業国家独特のアキンド根性が卑屈に見えてどうも苦手で、音楽や絵画みたいなきらびやかな芸術の世界にのみ自分が生涯をかけて達成したい世界があると思い没頭していきます。
国の方針である経済学に見向きもしないギルバートに周囲は冷たい態度で接するため、慢性的コミュニケーション不足のギルバートは顔の筋肉が全く発達せず表情を作ることができないし、意見を求められることがなく長年言葉を発しなかったので、喉からは発声の力が徐々に衰えていく。
音楽を奏でる時だけ自分が自分でいられる。
旋律がそのまま自分の感情で話し言葉だから、言葉や表情を使わなくとも自己実現は可能だと確信します。
他人とのコミュニケーションを音楽を通じてしか取れないギルバートの演奏会は、あまりに高揚しすぎて聴衆に極度の緊張を強いりますが、一度聞いてしまったら最後、もうその音楽なしでは生きられない。
アンナもその音に聞き入った人間の一人。
アンナと一緒に幸福な時間を音楽の中で過ごしますが、バロンにアンナを殺された時、音楽はギルバートにとって意味を成さないものになってしまいます。
楽器を演奏するだけじゃ、バロンの火力には抵抗できない。
平和の曲を奏でるギルバートの音楽をバロンはジェットエンジンでかき消しました。
そして、ギルバートは痛感します。
きらびやかな演奏、優美な服、豊かさの象徴のような豪華な演奏会場は、結局厖大なコマーシャルでしかなかった。
刺せば血の出る現実を変える力を持っていなかった。
そこで初めて経済の魅力に気が付きます。

ギルバートの取った行動↓
「剣を持って戦うことは僕にはできない。
だから、僕にとっての現実、戦場は、軍事国家バロンと剣を交える戦地ではなくて、金が流通するマーケットだ。
バロンは軍事力でダムシアンのクリスタルを奪い取った。
だけど、奴らはバカだから、奪い取れるのはクリスタルだけだ。
僕は違う、僕は彼らに対して、もっと酷いことをしてやれる。
世界中の通貨はダムシアンの為替市場を経由して循環している。
僕の父王は各国のディーラーにまずプライスの提示をする。ディーラーが1000万ドルと言う時、父王はその瞬間の相場の気配の用は値段を言うわけだ。
80円50銭から55銭。
50−55と父は言っていた。
売りたければ80円50銭で売るし、買いたければ80円55銭で買うということになるわけだが、それで顧客が売る、ということになれば、ダムシアンはその額を強制的に買うことになる。
それを市場でさばくわけだけど、それを80円50銭でさばけばダムシアンに儲けは無い。
市場がギル高に振れると予測して、実際に81円まで上がれば儲かることになる。
色々な手を使って、市場の気配を読んで行くことになるんだけど、父王はこの駆け引きに消耗して行き、最後は干からびた骨のようになって死んでしまった。
父の亡き今、マーケットは僕が継ぐことになっている。
経済の動きは波に例えられるが、僕には美しい音楽に聞こえる。
細かな振れを繰り返しているが、それは俯瞰してみると、大きな波の中で刻まれる小さな音の集合体だ。
僕にはそれがモーツァルトに聞こえる。
父はよく、凪いでいる時の波は美しいが、ひとたび時化が来ると、何もかもを飲みこむ大災害となると波を恐れていた。
僕には恐れる必要はない。
音楽はずっと僕と共にあって、僕自身を表す手段だった。
僕にとって、旋律とは自ら奏でるものであって、おっかなびっくり動きを予測するものではなかった。
売るべきか、買うべきか、世界がどちらに流れて行くのか、父は気にするあまりやせ細って行った。
僕は違う。
僕には聞こえるんだよ。
モーツァルトが教えてくれるんだ。もうすぐギルが買い戻される、だから売って。
こういう感覚わかるかな?音楽に身を委ねさえすればあっという間に巨万の富を築ける。
軍事力で天下を取るなんて時代遅れだよ。
バロンは富も、食糧も、戦車も飛空挺もなんでもそろっている。
でも希望だけが無い。
それって養鶏場に似ていると思わないかい?
食事だけは毎食与えられているが、みんな狭い鶏舎に閉じ込められてどこにも行けない。
鶏は最後どうなると思う?みんな殺されて食肉になるんだ。
僕はバロンの財を略奪して鶏を虐殺することに決めたんだ。
軍事国家は敵国を皆殺しにすることはできない。
皆死んだら得られるものは土地くらいになってしまうからね。
でも、金融資本はそうじゃない」

青き星の統一通貨ギルはギルバートのギルです。
「通貨の名前なんか何でもよかった。自分の名前をつけたり、紙幣に自分の顔を印刷することは好きじゃなかったんだけど。アンナは僕のことをギル、ギルって呼んでたから、通貨をギルにすることで、いつでもアンナが傍らに居てくれるような気持ちになれる。ギルが世界中に流通すると、アンナは世界のどんな場所にも存在していて、僕を見守っていてくれるように思えるんだ」
ギル・ゲイツの個人資産はバロンのGDPの4倍を記録しました。


嘘を吐く時は真実を混ぜるとリアリティが増す。

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