★ハッピーバースデイ・ディア・カイン★

ハイウィンド邸に一通の招待状が届けられた。
封筒を裏返すと、緋色の蝋にバロン王家の紋章が押し当てられ、封をされている。
カインは小刀で蝋を削り落とすと、中に入っているカードを取り出した。
金箔で縁取られた豪華なカードにはバロン王の筆跡でカインの誕生日を祝う言葉が書かれていた。
―どうやら、陛下は今夜、バロン城で俺の誕生会を催すらしい―
定刻までに城へ来るよう、半ば命令にも似た招待の言葉に、カインはため息を漏らした。

日が沈む頃、カインはバロン城の門をくぐった。
すれ違う兵士達が「カインさん、おめでとうございます」と会釈をしてくる。
「あぁ」と適当に返事をして、バロン王のいるであろうサロンへ向かう。
兵士の控室とは離れたところに作られたサロンに続く道は、不気味な静けさが漂っていた。
これから祝賀会が開かれるような雰囲気ではない。
カインは少し眉をしかめながら、歩を進めた。

サロンの扉を開くと、既にバロン王は、テーブルに着いていた。
天使をかたどった燭台に、蝋燭がまばらに灯っている。
薄暗い室内に、その灯りは陰気な光を提供していた。
「陛下、お招きいただきまして、ありがとうございます」
カインが恭しく礼をする。
バロン王が口を開く。
「カイン、待ちかねたぞ」
ベルを鳴らし、メイドを呼びつけると、食事の準備をさせる。
カインとバロン王の前にはスープや前菜などが次々と出される。
幼少期はバロン王と接する機会が多かったカインだったが、騎士団に所属するようになってからは会う機会が極端に減っていた。
気安く話をすることを好んだバロン王は形式ばった食事が好みではなかった。
しかし、今、面前のバロン王は以前の親しみやすさが嘘のように、重々しい表情で、口を閉ざしている。
カインは、バロン王を窺いながら、出された皿に口を付けた。
申し分のない料理だが、この雰囲気に圧倒されて、食べた気がしない。
ぽつぽつと当たり障りのない会話をしながら、食事を済ます。
一通りの食事が終わると、王は、カインを見据えた。
突然、鋭い視線を向けられ、カインは驚いた。
蝋燭の光がバロン王の目に反射して、邪悪に見せる。
「これまでの食事はいかがだったかな・・・?」
その声はサロンの中に妙な反響を生んだ。
「・・・とても美味でした」
カインが気の無い返事をする。
「誕生日と言ったら、ケーキだろう。私はお前のために、特別なデザートを作らせたのだ。きっと、カインも気に入るだろう」
「・・・?」
バロン王はおもむろに立ち上がると、サロンを後にする。
数分後、バロン王は、大きな給仕台を引きながら再び姿を現した。
その台の上には、途轍もなく大きな皿と、その皿を覆うように銀製の蓋が乗せられている。
カインのすぐそばまで、台を移動させると、濁った眼をカインに向けた。
「さぁ、ご覧・・・」
銀の蓋に手をかける。
カインはそこから現れたものを見て、息を飲んだ。
皿の上には、夥しいクリーム、果実の類が盛りつけられている。
そのクリームは人間の体をデコレーションしていた。
白い肌にクリームが乗せられ、その体の熱で、ところどころクリームは溶け出していた。
蝋燭の光が、皿の上に散らばる銀糸を照らし出す。
目を半ば閉じ、恍惚としているとさえ言える表情をしたセシルが、横たわっていた。

バロン王はセシルの髪に手を差し込み、愛撫する。
「これが、お前のための誕生日ケーキだよ」
髪を撫でていたバロン王の指が、セシルの首筋に降りる。
「クリームに苺、カインには趣向には少々甘すぎたかな・・・?」
「はぁんっ・・・」
生クリームを纏った指がセシルの乳首をなぞる。
上がったセシルの嬌声に、カインは肩を震わせた。
「カインも、今夜で二十歳か。とっておきの酒を用意してある」
バロン王はそう言うと、セシルの脚を掴んだ。
腿をいやらしく撫でられると、セシルが震える。
脚を開かされ、さらけ出されたその場所に、カインの視線は釘づけになる。
そこは既に赤く色づき、何かの液体でしとどに濡れていた。
外気にさらされたことで、液体はさらにこぼれ出した。
「ブランデーだ」
バロン王が無遠慮にその淵を指でなぞる。
「あぁっ」
突然の乱暴な愛撫にそこは収縮し、大量のブランデーを吐きだした。
セシルの顔が赤く上気している。
とろんとした目は、このブランデーに酔わされているからだ。
―しかし、こんなことをしては、セシルは本当に死んでしまうぞ―
一瞬、カインの頭には理性が閃いたが、その卑猥な光景に眩暈を覚えていた。
バロン王の手がカインの手を取り、そこへ導いた。
「陛下・・・!」
指がそこに触れる。
そこは熱く蕩けていて、カインの指を歓迎し、中に引きずり込んだ。
「んっ・・・ふ、あ」
内壁が指に絡みついてくる。
バロン王の強引な手が、カインの指を奥へ奥へと誘う。
中指の第2関節が埋まろうとするころ、指先に、何か固いものが触れるのを感じた。
「・・・?」
カインの手がそれ以上進まなくなるのを感じると、バロン王は口元に笑みを湛えながら言った。
「お気づきかな・・・?中に栗が入っている。マロングラッセは有名なバロン土産だからな」
ここで造られたものはさぞかし美味だろうな、悪魔が憑依しているかのような表情で、バロン王は言った。
「さあ、存分に賞味するがいい」
カインをきつく掴んでいた手を離すと、バロン王はマントを翻し、夜の闇に紛れるように消えてしまった。
「陛下ッ」
カインは一人取り残される。
目の前には酔わされたセシル。
そして、事もあろうか、セシルの中にはバロン王の酷い悪戯が埋め込まれている。
カインは再びそこへ目を向けた。
―陛下の恐ろしい陰謀。一体、陛下はどうしてしまったのだ。しかし、これは―
カインは唾を飲み込んだ。
そして、そこに再び触れる。
―どうにかして、取り出さなければ―
指を突き入れると、セシルが喘ぐ。
栗に指先が触れる。どうにか、それを掴んで外へ出そうとするが、大きな栗は指から巧みに逃げてしまう。
「あ、あぁ・・い、やぁ・・ああ」
カインが試行錯誤すると、中の栗が擦れてしまい、セシルが盛大に喘いだ。
セシルのものは昂ぶり、クリームと一度の悪趣味なデコレーションを押し上げている。
皿の上で身を捩るセシル。
カインは堪らなくなり、セシルのそれを掴むと、梳き上げる。
手の中でクリームが醜悪な音を上げる。
ぐちゅぐちゅとすさまじい音が立ち、セシルを追い詰める。
「あ、はぁん・・・あ、あ、はあ」
セシルが達する。
腹の上で溶けかけるクリームと、白濁が混ざり合う。
セシルの荒い呼吸が銀の皿に落ちる。
カインの手の下で、セシルの体温はどんどん高くなっていく。
カインは中の物を取り出す作業を速めた。
そこを大きく広げ、指を二本挿れると、栗を挟む。
「う、うあ・・・あ・も、いや・・・」
無理矢理拡げられたセシルのそこは、痛みと快楽で痙攣しながら、指を受け入れる。
中の赤い肉がひくひくと震える。
栗が見えてきた。
逃げようとするセシルの腰を押さえつけて、それを取り出す光景は、まるで助産師が出産に立ち会っているようだった。
とうとうそれが取り除かれる。
「あ、あ・・・ッ・・・」
セシルが再度痙攣すると、2度目を放った。
栓が開けられたナカからは、ブランデーが溢れだす。その夥しい量。
中毒を起こしてもおかしくない量だった。
カインは急いで、ナカを清める。
ブランデーを掻き出そうとナカをかき混ぜると、セシルのすすり泣きのような喘ぎが響いた。
目尻からは涙が零れている。
「セシル、もう少しだ・・・」
最早言葉など届かないだろうが、カインは気休めにセシルに話しかける。
指先が熱い。
カインのものもどうしようもなく昂ぶってしまった。
ナカを清め終わる。
カインはセシルの様子を眺めながら、逡巡する。
「セシル、すまないッ・・・」
そういうと、自らのものをくつろげた。
セシルにのしかかる。
それがそこに触れると、セシルは顎を仰け反らせて喘いだ。
焼き切れてしまいそうな熱さと締め付けがカインを苛む。
「クッ・・・はぁ・・・」
カインからため息が漏れる。
なぶられていたセシルのそこは、簡単にカインを受け入れた。
カインはセシルの顔を撫でる。
焦点の合わない瞳。
カインが軽く口づける。
「・・・ん・・・あ・・・カインッ・・・」
小さな声でセシルがカインの名前を呼んだ。
カインが律動を始める。
「ああ、あん・・・カインッ、カインッ・・・」
ブランデーで熱されたそこを、更に苛烈な抽挿がセシルを襲った。
「うあ、あ、はぁ・・あ・・・あ・・・」
セシルのナカが激しく痙攣する。
カインはセシルを掻き抱くと、セシルの中に欲望を放った。
「あ、あ・・熱い・・・ッ」
セシルも達する。
カインの肩にまわされていた手は、力なく落ち、セシルは意識を失った。
どろどろとなったセシルが銀の皿の上で眠っている。

セシルから自身を引き抜き、呼吸を整えながら、カインは考えていた。
―セシルは、一体、陛下になんと言われて、こんなことをされたのだろう―
ほとんど酒も飲まないセシルが、あろうことか、こんな場所に酒を注がれて・・・
バロン王の命令で服を脱がされたセシルが、瞳を伏せながら自ら脚を広げ、冷たい器具を体の中に受け入れる様子を想像したところで、カインは頭を振った。
カインはセシルを抱え上げると、サロンのすぐそばに備え付けられた王陛下専用の浴室へ移動した。

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