「いや、確かに肉が落ちてる」
「わあっ」
このへんとか、と脇腹を握られ声を上げた。
「痩せたとか言って!」
ぼやーんとしていた肉付きが、曲線がくっきりするほど引き締まって見えるようになったのは、結婚前エステのお陰だ。
特にダイエットをした覚えもないので、たぶんそう。
「いや、痩せたとかじゃないだろ」
コロリと俯せに返されて、やっぱり減ってるとあちこちを撫で回される。
ちょっと、もぅ、敏感になってるからあんまり触らな……
「……っひゃう!?」
持ち上げられたお尻に、歯が当たる。
誰の? なんて決まってるし、っていうか噛むなー!
ジタバタするあたしを押さえつけて喉を鳴らしたフミタカさんが、後ろから身体を重ねてくる。
「俺はもうちょいポヨっとしてるほうが好み」
「し、失礼だしっ……!」
せっかく育てた胸も減ってないかと掴まれて、揉みしだかれた。特に技巧を凝らされたわけでもないのに、頭がぼうっとして、なすがまま。
赤く主張してる尖りを抓まれ弾かれて、そのたびに震えて泉が溢れる。
「っぁ、も、う……っ」
「うん、欲しいか?」
水音が溢れる入り口の弱いところを捏ねながら、フミタカさんが、そそのかす。
きゅうっと痛む奥が切なくて、あたしがそうなってることもわかっているくせに、まだ言わせようとするフミタカさんをぼやけた視界で睨みつけた。
くつりと笑って、体を起こした彼は、あたしを引き上げると膝に乗せて、腰と腰を密着させてくる。
熱い昂りが肝心なところを外して擦れて、焦れったい。
「フミ、タカさ、ん……っ」
身体を捩る。
自分で足を広げて、招き入れているなんて意識してなかった。
力の入らない腕を、彼の首に回すのが精一杯。
肌を擦りよせて、名前を呼びながらいやいやと頭を振ってぐずるあたしに、フミタカさんが「この小悪魔」、と呟く。
「あぁっ」
いっぱいにされる。
待ち焦がれていたものを受け入れて、喉を喘がせた。
「勝ったー!」と一瞬思ったけど、実際のとこ中にフミタカさんを感じただけでイってしまいそう。
イきたいけれどもったいなくて、浅く早く呼吸をして、なんとか衝動を逃がした。
収まりが悪いのか、はたまた他の意図あってか、探るようにフミタカさんは内壁を突いてくる。
苦しい、けど、同じように息を弾ませているフミタカさんの呼気に、じんわりとした喜びを覚える。
はじめての夜も、思ったなぁ。
好きな人が、あたしの身体で、熱くなってくれている。
女としての幸せ。
「ん、フミタカさん、違うの、ここ……」
ここがいいの、とあたしは自分から腰を動かす。
いいところに当たりそうで当たらないんだもの。わざとだろうけれど、散々弄ばれていたあたしは、もう我慢できなかった。
もっと動いて、とおねだりする。
もっともっと、気持ちいいことが欲しい。
フミタカさんが、欲しい。
「お前な……、さっきはあれだけ言わなかったくせに……っ」
堪えるように息を詰めた彼が、あたしの身体を倒して、深く穿ってくる。
深く深く、あたし自身も知らないところまで、その先に。
彼を飲み込んで、彼を受け止める。
「……手、ぎゅってして……っ、一緒、に」
あたしのお願いに、指が絡められる。
右手と左手、お互いのそれぞれにはまった指輪で、繋がって。
ずっと一緒にいる約束を、もう一度誓う。
全部お前のだ、ってフミタカさんが言ったから、あたしも、全部フミタカさんのものだよ、とささやいた。
結婚式篇・了