花風 #1
昔から意地悪で、
いつもあたしをからかって、
何回泣かされたかわからない。
生まれたときから側にいた、
幼なじみ。
物語りみたいに甘くやさしい関係じゃなくて、どちらかと言うと天敵。
だけど容易く縁が切れるほど簡単じゃない、複雑な関係。
なんであんたのお願いという強迫に、頷いたのか、今でもわからない。
騙し打ちみたいに無理矢理抱かれて、
呆然としていたあたしにあんたが言った言葉。
「俺、もうすぐ死ぬんだって。
だからさ、果林。俺の子供産んでよ」
生まれたときから側にいた、幼なじみ。
だけど先に、
いなくなった、
だいきらいな、
きみ―――。