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▼ 祝おうじゃないか

「ところで、ボスって誕生日いつなんです?」

ボスの部屋へやってきた私は、ふと気が付いたことを口に出していた。
そういやボスに誕生日おめでとう、みたいなことを言ってもらったことはあるが、ボスの誕生日は知らないのだ。
それについてはボス、なんか言ってたような言ってなかったような……。

「……急になんだ」
「あ、いや、ボスに誕生日祝ってもらったことはあるけどボスの誕生日っていつだったんでしょう……あはは」

ボスの呆れた視線に乾いた笑いしか出てこない。なんとも苦しいか、これは?
ふと、ボスが視線を外した。

「……誕生日はわからん」
「えっ!?じゃ、じゃあ、誕生日、祝ってもらったことって……」
「ない。誕生日がないんじゃ祝いようがないだろう」

ボスはいつものトーンで話しながら、黙々と作業を進めている。
誕生日がわからない……それってつまり誰からも祝ってもらったことすらないってこと。そう思うとなんだか悲しくなってくる。無神経に聞いた自分も悪いと思っている。でも、それって寂しい。

「……寂しかったでしょう」
「そんなことはない。第一、誕生日だからって特別な日になるとも限らないだろう」
「そりゃ、そうですが」

そこで言葉が詰まる。誕生日だからって特別とは限らない。
でも、やっぱり寂しすぎる。自己中心で身勝手かもしれないけど、これだけは言わせてほしかった。

「なら、今からでも、ボスを祝いましょう!」
「……頭でも打ったか?」
「いえ、私は大丈夫です!今からケーキ買ってきます!」
「まずは仕事をしろ……行ってしまったか」

ボスの小言を無視して、私はボスの部屋を出た。まずはケーキを買ってこよう。
怒られるのはこの後だ。まずはボスを祝おうじゃないか。

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