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▼ 〇〇しないと出られない部屋

「ん……?」

目覚めると、謎の部屋の中にいた。いや、部屋というには窓とかドアがないんだ。
そして隣には闇慈さんがいる。あれ、闇慈さんと会ったのって2か月前くらいなんだが。

「ん、なんでななしがいるんだ?」
「あ、闇慈さん。起きたんですね」
「しかし変な場所だな。まるで箱の中にいるみてえだ」

闇慈さんは周りをキョロキョロ見回しながらつぶやいた。箱の中、というのは正しいのかもしれない。ドアも窓もなければ正方形の四角形の中に閉じ込められている気がするのだ。
と、目の前に張り紙が張ってあるのを発見した。紙には何か書いてあった。

『ハグしないと出られない部屋』


「……なにこれ」
「俺に言われてもなあ」

私と闇慈さんは顔を見合わせた。いきなり部屋らしき部屋に閉じ込められて「ハグしろ」と言われてもいまいちピンとこなかった。

「あ、下の方になんか書いてあるな。……『40分以内にやらなければ一生箱の中』だってよ」
「えっ!?」

それってつまり、闇慈さんとハグしなければ一生箱の中で過ごしていくことになる。それは勘弁してほしい。
とはいえ闇慈さんとハグ……となるとなんだか恥ずかしい。私がいろいろともたないかもしれない。

「あ、あの、闇慈さん」
「……すまねえが、ななし。目をつぶっていてもいいぜ」
「えっ……!!」

急に闇慈さんの胸板が目の前に迫り、そのまま体を密着した状態になる。つまりハグだ。
闇慈さんの顔を見ようとするが闇慈さんの顔は見えない。私の瞳は今、闇慈さんの胸板にある。いきなり半裸の男に抱きつかれて頭は混乱しそうになる。

「えっ、あっ」
「……悪いな」

その時、ガコンと大きな音が鳴った。ドアが現れた音だろうか。
その音を聞いた闇慈さんが「開いたぜ」と報告する。そして、私の体を離す。

「さ、外へ出ようぜ」
「……うん」

私はここを出る前に闇慈さんの顔を見れなかった。というかしばらく見られないかもしれない!




御津闇慈とあなたは『ハグしないと出られない部屋』に入ってしまいました。
40分以内に実行してください。


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