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▼ クソ女と呼ばないで

※ヒロインはあの男の一味。首絞め描写あり


「やっと見つけたぞ、クソ女」

私を見つめるその男―――確か名前はソル・バッドガイといったか。たまたま町を歩いていたら運悪く出くわしてしまい、命からがら逃げてきたところだ。
そういやソルってあの方を憎んでるって聞いたな。おそらく私殺されるんだろうな。とぼんやり思っている自分に嫌気がさす。

「で、そろそろ追ってくるのやめない?私帰りたいんだけど」
「てめえがおとなしく俺に殺されるなら考えてやってもいい」
「やっぱり帰す気ないんじゃないんですか」

私は諦めモードに入った。そう易々と返してはくれないらしい。
こうなったら力づくで突破するしかない!私は手に持っていたナイフをソルに向け、突っ込んだ。

「こうなったら死んでください!」
「チッ。仕方ねえ、やるか」

ソルもまた、剣を握るのだった。



「ハァー、ハァー……」
「散々手こずらせやがって、クソ女が」

私は思いっきり地に伏せていた。まあ当然のことながら返り討ちにあった訳ですよ。
ソルの方を見上げると息一つ上げてない。私なんて軽く一ひねりだった訳だ。

「で、居場所を教えてもらう気になったか?」
「教えるわけないじゃないですか……」
「チッ、なら、これはどうだ」

ソルはそう言って、私の首に手をかけた。まさか首でも折るんじゃなかろうか。
と思っていたがその手を徐々に締め始めた。首絞めに掛かってきたわけか。

「ッ……!」
「ほら、早く言え。じゃないとてめえを絞め殺すぞ」

ソルは淡々とした表情で私の首を絞め始める。これ下手したら死ぬんじゃないか。
とはいえこのままじゃ声を出すこともかなわないので地にポンポンと叩き始める。それを見たソルは首を絞めるのをやめてくれた。私は体半分を起こしせき込んだ。

「ゴホッゴホッ」
「そうか、知ってるんだな」
「いや、あの、実は私も知らないんですよ」
「あぁ?」
「いや、ほんとになにも知らないんです」

ソルがギロリとこちらを睨んだ。そんな睨まれてもなにも出ないんだけど……。
とはいえ本当に知らないのだ。このまま逃げたいところだけどもう体力はない。そもそもソルが帰してくれるかどうかは謎だが。

「チッ、どうやら何にも知らないんだな」
「私のような下っ端にはなんにも知らされてないんですよ。帰りたいって言ったのもただのハッタリみたいなものだし」
「なら、いい。てめえをこのまま連れて行くだけだ」
「え」

ソルはそう言って、私の腕をグイッと引っ張った。私は足がよろめき、倒れそうになる。

「てめえは俺と一緒にくんだよ。そうすりゃあいつも出てくるだろうよ」
「これって実質人質みたいなもんですよね……」
「……言っておくが妙な真似をしたら殺すぞ」

またソルに睨まれる。正直ちょっと怖いです……。

「おら、行くぞ」
「ちょっ、ちょっと待ってください!せめてクソ女って呼ばないでくださいよ!」
「じゃあなんて呼べばいいんだ」
「ななしです。ソル=バッドガイ!」
「よし、ななし。ついてこい。逃げんなよ」
「少しくらい休ませてくださいよ!」

ソルに促され、私は歩き出した。誰でもいいから助けてくれないかなあと期待してみるがあの方どころか他のメンバーも助けてくれないだろうな、と思いつつ、私は項垂れるのだった。
何時か寝首をかいてやる、そう思いながら。


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