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▼ 特別

「ななし、ちょっといいか」
「はい、なんでしょう。ボス」

私が廊下を歩いていると、ボスに呼び止められた。もしかして書類にミスがあったのだろうか。それとも先程の任務で重大なミスをやらかしてしまったこととか……。
怒られるのではないかとヒヤヒヤしながら私はボスの方を向く。顔は髪の毛で見えないから表情の確認のしようもない。

「……ついてきてくれないか」
「は、はい、わかりました」

そう言って、ボスは歩き出した。私も慌ててボスの後をついていく。
少し歩いたのち、ある一つの部屋に止まった。部屋に入ると、そこはなにもない、ただの空室だった。

「少し遅れたが、ホワイトデーのお返しだ」
「えっ、私にですか?」
「そうだ。ぜひ受け取ってほしい」

どうやら仕事でのミスではなく、ホワイトデーのお返しを渡しに来たらしい。私は一瞬唖然に取られたが、プレゼントを受け取った。
まさかボスからお返しをもらえるなんて、と思うのは失礼だが、それはとても嬉しかった。

「不満だったか?」
「いいいいいえ!嬉しいです!」
「そうか、それはよかった」
「今、開けても大丈夫ですか?」
「構わないぞ」

ボスのその一言で、私は早速プレゼントの包みを開けた。包みを開けると、高級そうなチョコレートの箱が現れる。
箱を開け、チョコレートを1つ食べる。濃厚で、トロりとした甘みが口の中を支配する。これが高級店の味なのか。
チョコレートの甘さに浸っていると、ボスが言葉を発した。

「満足いただけたかな」
「え、ええ。とても美味しいです!」
「そうか。ちなみにななしだけの特別だ。いつも頑張っているからな」
「私だけの特別……」

ボスが私だけに用意してくれた、と聞いて私は嬉しくなった。今すぐ舞ってしまいそうになるがそれはさすがに抑えておこう。

「さあ、そろそろ戻ろうか」
「はい!頑張ります!」

その後、仕事に戻った私が終始ニヤニヤしながら仕事していた、とアサシン組織の中で噂になっていたとかいないとか。


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