▼ タイミングと肉まんと
※現パロ
「チップ、今帰り?」
「ん、ああ。そういうてめえも学校終わりか」
「へへ。今日は部活ないのです」
私はそう言って、チップの腕に抱きつく。チップはあまり動じていないようだ。
今日はチップの誕生日だ。せめて誕生日プレゼントを渡したい。
「あ、そうそう、ち」
「腹減ってるだろ、なんか食おうぜ」
「……うん」
チップを呼ぼうとすればチップの声にかき消された。そりゃお腹はすいてるけどさ。
渡すタイミングを逃し、そのままコンビニへ入っていった。
「あー、おいしかった!」
「そーかよ」
結局コンビニに寄って肉まんをチップに買ってもらい、食べてしまった。もちろん食べてる時もいつ渡そうかと画策していたところだ。
だがタイミングが合わず、肉まんを食べ終えてしまったときにはしまった……!とハッとなってしまっていた。
「じゃあ、俺は行くぜ」
「家にでも帰るの?」
「ああ。じゃあな」
「待って!」
このままではチップが帰ってしまう。そう思った私はチップを呼び止めた。チップは一瞬きょとんとして、「どうした?」と返してきた。
「こ、これ、今日誕生日だから渡すね!」
「お、おう」
「それじゃ、私はこれで!」
「あ、オイ!待て!」
チップの静止を聞かず、私は一目散に逃げ出した。今私はニヤケているかもしれない。そんな変な顔をチップに見せるわけにはいかない。
でも、渡せた。あまりにも適当すぎる気もする。
明日チップに謝ろう。後、お祝いの言葉もいってやろう。
と思いながら、私は帰路につくのだった。
戻る