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▼ 弱みを見せてほしい

「そういえば、ザトー様ってどこへ行かれたんでしょうかね」

私がそう呟くと、ボスがガタッと大きな音を立てて立ち上がった。ただの呟きなのに必死すぎないかとか思いつつ、私はボスの方を向いた。
ボスはそのままツカツカと歩み寄り、私の肩をガッとつかんだ。ちょっ、痛いんだけど……!

「ザトー様はおそらく無事だ!」
「わ、わかったから落ち着いてください……!」
「ハッ、済まない。取り乱してしまったようだ」

ボスは私に軽く頭を下げると、戻っていってまた書類業務へ戻った。ザトー、という人とは直接会ったことはないがボスが心酔しているのだけはよくわかる。
ザトー様についていろいろ聞いてみようか、と思ったがボスと一介の部下の関係である私にはとても聞けたもんじゃなかった。
そういや同僚の中に知っている人はいるのだろうか。知ってる人にいろいろ聞いてみようかな。

「それでは、ボス。失礼します」
「待て、ななし」
「?どうしましたか?」
「……なんでもない、先程は取り乱してしまってすまない」
「いえ、そんな気にすることでもないですよ」

そういって、私はボスの部屋を出た。ボスは謝っていたけど私は全然気にしていない。むしろちょっと嬉しかったくらいだ。
ボスの弱み……というか弱いところを見られた。そんな気はするからだ。
私は笑いをこらえながら、自室へ戻るのだった。

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