「あっ、闇慈さん！」
「よっ、ななし。元気だったか？」

私は遠くを歩いていた闇慈さんを呼んだ。闇慈さんはすぐにこちらに気が付き、手を振り返してくれた。
私は闇慈さんに駆け寄ると、闇慈さんが手を上に差し出した。私もすぐに手を差し出し、ハイタッチした。

「闇慈さんも変わらないようでなによりです！」
「そういうお前もな、ななし」
「あ、そうそう、闇慈さんに渡したいものがあったんです」
「ん、俺にか？」
「はい、どうぞ！」

私はそう言って、リュックからあるものを取り出した。マフラーだ。
そろそろ闇慈さんの誕生日も近い、ってことで準備していたのだ。闇慈さんはそれを受け取り、首にかけた。

「おっ、結構あったけえな。もしかしてななしの手編みか？」
「いえ、買ってきた物で申し訳ありません」
「なんで謝るんだよ。嬉しいぜ、ななし」

闇慈さんはそう言って、私の頭をくしゃっと撫でた。私は思わず照れてしまう。
そんな私の様子を見た闇慈さんが、クスリと笑った。そして私の手を掴み、歩き出した。

「よし、じゃあ近くの街まで一緒に行くぜ」
「そ、そんな、悪いです」
「遠慮すんな、行くぞ！」

闇慈さんは私の手を掴んで走りだす。風に揺れる赤いマフラーを見つめ、私は微笑んだ。

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