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▼ 名前を教えて

「そこか!」
「きゃあっ!」

油断した。相手の攻撃を喰らい、私は吹っ飛ばされた。
今ので完全にやられた。もう立ち上がる力も残ってない。

「おら、どうした、立ってみろよ」
「……」

相手が挑発してくる。私は押し黙ったまま地面を見つめる。
相手がじりじりとこっちに近寄ってくる。とどめを刺しにくるかもしれない。

「……おい、なんとかいえよ」
「……るさい」
「あ?」
「うるさーーーーい!!」
「うおっ!」

私は思わず叫んでしまった。相手は驚いたのか、後ろに後ずさる。
私は叫んだあと、仰向けに体制を整える。いや整えるもクソもないけど。相手の顔くらいは見えるだろう。

「はあ、はあ……」
「なんだ、まだ元気じゃねえか」
「でも戦える力はないわよ」
「……そうかよ」

相手はそう言って去ろうとする。私は思わず「ま、待って!」と相手を引き留めた。

「なんだよ、俺は行っちまうぞ」
「名前、名前を教えてほしい」
「あ?名前だァ?」
「それくらいいいでしょ。私はななし。あんたは」
「……チップ。チップ=ザナフだ」

チップ、と名乗った相手は、そのまま倒れた私をおきざりにさっさと去ってしまった。
チップが去った後、私は思わず笑いだした。嬉しい、というか自虐的といった感じか。

「フッ、ハハハハ……覚えておくよ、チップ」


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