▼ 招き狼、誘い狼
「よし、着いた!」
私はある街につき、宿を探そうと見回していた。
新しい街に着いたらまずは宿探しだ、と思った私は街の中をうろうろし始める。
「宿はどこだろう……」
「宿なら、あっちにあったぜ」
突然誰かが話しかけてきた、銀髪に赤い瞳、結構いかつい男の人だ。
「ありがとうございます、ええと……」
「チップだ」
「チップさん、ありがとうございます」
私はそう言って、宿の方角へ歩き始めた。チップさん、と名乗った男の人もついてきている。
「チップさんもここの宿に泊まっているんですか?」
「いや、俺は別の用があるだけだ」
「そうですか……」
ちょっと残念、と思いつつ、私は宿へ入っていった。
「さて、風呂にも入ったし休みますか」
私は風呂を浴び、寝ようとしていた。その時、窓に誰か見えた。チップさんだ。
チップさんもこちらに気が付いたのか、私の部屋に近づいてくる。
「よう」
「あっ、チップさん、こんばんわ」
私はチップさんを部屋に入れた。チップさんはベッドに座った。
チップさんは部屋を眺めつつ、私にこう尋ねる。
「お前、明日はどうするつもりだ?」
「食料やアイテムをそろえようかなと」
「そうか。なら俺も一緒に行くぜ」
「えっ、そんな、悪いですよ」
「気にすんなって」
私もチップさんの隣に腰かける。すると、チップさんが迫ってきているような気がした。
私は少し距離を取ろうとする、チップさんが更に迫ってきている。あっという間に壁際に追い込まれ、チップさんに壁ドンされている状況になる。
「あ、あの、チップさん」
「お前、夜に男を招く……どういうことかわかってるよな?」
「えっ」
「男は皆狼だってことをよ」
そう言うなり、チップさんの唇が私の唇に触れた。
あまりにも唐突すぎた。頭が追い付かない。
そのまま押し倒されるような形になり、私はチップさんに押し倒されている図になる。
「悪ィが、誘ったお前が悪いんだからな」
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