▼ 一瞬のできごと
「あーついぃぃぃぃぃぃ…」
うだるような暑い日、私は木陰で休んでいた。
木陰に入ったところで暑いのは変わらない。
そう思いつつも休まずにはいられなかった。
「せめて雨とか降らないかな…」
空を見ても曇りなき快晴。
雨が降らないのは明白だ。
そう思ってまた休もうと思ったその先。
「うわあああああああああああ!!」
「!?」
突然目の前になにかが降ってきた。
降ってきたもの―――いや、男の人は地面に落ちた。その男の人は落ちた後、なんともなかったようにすぐ復活した。
呆気にとられた私を前に、その男の人は話しかけた。
「お嬢さん、ここはどの時代なんだい?」
「えっ、えっと……西暦2XXX年です」
「はぁ〜〜〜〜また戻れず仕舞いか……」
そういうや男の人は深いため息をついて落ち込んだ。
なにがなんだかまだ困惑する私の前に男の人は話を続ける。
「ちょっと頼みがあるんだけど……」
「新手のナンパですか?」
「いや、違うんだけど……もしよかったら近くの町まで案内してくれない?」
「別にいいですけど、町から結構離れてますよ」
「マジか…………!? 今度はいきなりかよ!」
突然、男の人の体が光りだした。
「な、なんですか一体!」
「得意体質ってヤツだよ! ああクソ、今度はこんな早くかよ!」
男の人は今すぐにでもここから消えそうだ。
消える前に、私は男の人に尋ねた。
「すいません、いきなりで申し訳ないけど名前、もしよかったら教えてください!」
「俺の名前はアクセルだぜ! お嬢さん」
「私はななしです!」
お互い名乗りあった後、アクセルさんは消滅した。
ここには私1人だけが残された。
「……アクセルさん、また、できればお会いしましょう」
そう呟いて私は木陰で休むのだった。
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