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▼ 嘘か真か

「ボス!」
「なんだね」
「今日は何の日か知ってますか!」

私は勢いよくボスの部屋に突入して質問した。いや質問って程でもないような気もするが。
今日はエイプリルフールだ。私は早速ボスに嘘をついてみることにした。

「ボス、実は……」
「もったいぶらずに早く言ったらどうだ?」
「……結婚するんです」
「そうか、おめでとう」
「あれ?」

おかしいな、私の想像だとボスはもう少し驚くハズだったのにな。いつも冷静なボスだけどさすがに部下が結婚すると聞いたら驚くと思ったが全く驚いてない。それどころか仕事を再開して私をあっさりスルーしていく。

「ねえ、ボス。結婚するんですよー……」
「だからおめでとう。早く仕事に移ったらどうだ」
「うう、ここまで冷静すぎると逆に驚かせようがないです……」

ボスはそうこうしているうちに仕事をサクサクと終わらせている。早いな。
もはや私などいないかのように次の仕事に取り掛かる。私は自らの存在をアピールしつつネタバラしをするのだった。

「あの、ボス。実は、結婚するのは嘘なんです!」
「そうか」
「あんま驚いてないですね……」
「私にはどうでもいいことだと思ってな」
「うう、ボスのアホーーー!」

私は勢いよくドアを開け、部屋を出ようとする。と、突然手が引っ張られる感覚になる。
勢いあまって後ろを見るとボスが私の手を引っ張っている。これ以上なにかあるというのか。

「待て、ななし」
「な、なんですか、ボスぅ……」
「……好きだ」
「えっ」

突然の告白に私は思わず立ち止まった。このタイミングで告白か。
しかも今日はエイプリルフール。果たして本当なのかどうかもわからない。
私は恐る恐るボスに尋ねる。

「あの、ボス、それって……」
「……どうだろうな」
「……バカーーー!!」

私は思わずボスの部屋を飛び出した。果たしてそれは告白なのか嘘なのか、定かではない。
今度ボスと会ったときに返答しよう。そうしよう。と思い、自室へ戻るのだった。

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