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▼ 正月の昼

「チップ、あけましておめでとう」
「おう、アケマシテオメデトウ! ……だっけか」

チップが片言で挨拶し、私は少し笑う。
そしてそのままどこかへ行こうとするチップを私は腕を掴んで止める。

「! 何すんだ、ななし」
「チップに差し入れしようと思って」
「?」

私は手に持っていた風呂敷をチップに渡した。
それを受け取ったチップはそれを開け、「こ、これは……」と肩をワナワナと振るわせている。
そのまま私の肩を掴み、ユサユサと揺さぶる。

「嬉しいぜななし、これは日本でいうところのオモチってやつだろ!」
「うん。せっかくおもちをもらったからチップにおすそ分けしようと思ってね」
「thank you! 早速食べるぜ!」

チップはおもちを手に取り、食べ始める。
私もそんなチップを見て、私もおもちを食べ始めた。うん、とても美味しい。

「美味いな!」
「ん、美味しい」
「おい、これはなんだ? なんか黄色い粉みたいなのがついてっけど」
「ああ、これはきなこだよ」
「んじゃ、早速いただくぜ」

私とチップは談笑しながらおもちを食べていく。
そして、残り1つになったところで、私は「お腹いっぱいなのでどうぞ」とチップに譲った。
チップは残り1つのおもちを食べ、あっという間にもちの入った容器は空になる。

「ごちそさん、美味かったぜ!」
「それはよかったです」
「じゃあさ、これからハツモウデってやつに行こう!」
「えっ、今から?」

私が空を見上げると夕焼けが出ており、もう夜になろうとしていた。
今か今かと行こうとしてるチップに「明日じゃだめ?」と聞いた。チップは首を横に振り、却下する。

「駄目だ、今行くぜ!」
「えっ、今からなの?」
「当たり前だろ! さ、行くぜ!」
「うわあ!」

チップに引っ張られ、私も走り出す。
これから遅い初詣になるが、それもまた悪くない。そう思う私だった。

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