▼ 巡り巡らせ
「あっ、闇慈さん!」
「おう、ななしか! 久しぶりだな」
そう言うなり闇慈さんは私の頭を撫でる。正直言うともう大人なのでやめてほしいが。
闇慈さんと久々に再会して、私はなんだか一息ついた感じでだらーっとする。
「おいおい、町まではそんな遠くないだろ」
「いえいえ、お気になさらず。私がこうしたいからです」
「ゴロツキに襲われても知らないぜ」
闇慈さんはそう言って私の背をポンポンと叩きながら立たせようとする。
私ものそのそと立ち上がり、闇慈さんの背にもたれかかる。
「もう疲れたのか? 休むのはもうちょい後でも良いだろ?」
「あっ、そう言えば闇慈さんに渡す物があるんです」
「俺にか?」
「はい、プレゼント」
私は闇慈さんにプレゼントを渡した。プレゼントといってもただの手ぬぐいではあるが。
闇慈さんはプレゼントを開け、手ぬぐいを触りながら「おお」と感嘆の声を上げる。
「ところでなんで俺にプレゼントなんだい?」
「もうじき闇慈さんの誕生日なのでプレゼントいたしました!」
「そういやもうこんな時期か」
闇慈さんは「ありがとな」と礼を言って私の頭を撫でた。もう慣れたけどちょっと恥ずかしい。
闇慈さんは私の手を取って、走り始めた。
「ななし、町までもう少しだ! 走るぜ!」
「わっ、ちょ、待ってくださいー!」
町に辿りつくまで私と闇慈さんは走り続けるのだった。
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