HAPPY BIRTHDAY!


「よし、誰もいないな……」

私は前後を確認してから、食堂に入った。
食堂は今、誰もおらず静まり返っている。私は手に持っていた箱を置き、冷蔵庫の方へ向かう。
箱はさっき私が持ってきたのを含めればざっと10個ぐらいはあった。

「飲み物の準備はこれでいいかな……」
「ぽよ?」
「ってうわあ!」

私はいきなり現れたカービィに驚いて冷蔵庫をバタン!と閉めた。あまりにもいきなりすぎたので私は思わず硬直してしまう。
カービィはそんな私を知ってか知らずか、私の顔を覗き込む。可愛いけども!

「な、ななな、なんでカービィがここに?」
「ぽーよー」
「……なにか食べたいんだね」
「ぽよ」

カービィは力強く頷いた。私は冷蔵庫を開け、なにか食べれるものを探す。
カービィが頭に乗ってきて、冷蔵庫を覗き見ている。私はハムを発見し、それをカービィに渡した。カービィは私の頭から降りて、ハムを食べ始めた。

「ぽよ」
「ハムはおいしいかな?」
「ぽよ!」
「えっ、他にもなにか食べたいって」
「ぽよ」

私はまた冷蔵庫を見回してみる。今度はチョコレートを発見し、それをカービィに渡した。
カービィはそれを一瞬で食べてしまう。早いなあ……。
するとカービィが箱に気が付いたようだ。

「ぽよ!」
「えっ、箱?」
「ぽよー!」
「だ、駄目だよ!みんなそろってからじゃないと!」
「ぽよ……」

カービィはシュンとしてしまった。うう、申し訳ない。
そう言えばみんなはそろそろ戻ってくるころだろうか、と思いつつ、箱とカービィを見つめる。カービィはチラチラと箱を気にしてるようだ。

「カービィ、元気出してください」
「ぽよ……」
「みんな戻ってきますから!あ、噂をすればですね」

私がそう言った時、食堂のドアからシルエットがまばらに見えた。きっとファイターのみんなだろう。
私はドアを開け、ファイターのみんなを食堂に入れた。全員ではないが、それでもそこそこ集まったようだ。

「間に合った―!」
「全員いないようだが」
「おっ、本日の主役も来てるな」
「じゃあみんなでいいましょう!」
「せーの!」

「カービィ、誕生日おめでとう!!」

みんながカービィに向けて、祝福の言葉を言った。カービィは未だキョトンとしている。
私は食堂にあった箱を開けた。そこに入っていたのはケーキだ。チョコレートには「カービィ、お誕生日おめでとう!」と書かれている。ちなみに残りの箱もケーキだ。
カービィはケーキを見るなり目を輝かせる。

「ぽよ!」
「ふふ、カービィ、驚きましたか?」
「ぽよー!」
「って、ケーキを全部吸い込むのは駄目ですよ!」

カービィがケーキを全て吸い込もうとするのを慌てて静止する。カービィは早くケーキを食べたいそうだ。
こうして、カービィの誕生日を迎えたのだった。さあ、ケーキを切り分ける準備をしなければ。

「ぽよ!」

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