ほろにがい


「マルスさん、はい、チョコです」
「ありがとう、ななし」
「……大変だな、ななし」
「今日はファイターのみなさんにチョコを渡すんです!これくらいでへこたれたりはしません!」

私はマルスさんとアイクさんにチョコを渡した。2人はよろこんでくれたようだ。
私は2人と別れ、他のファイターを探してウロウロする。
と、そこであるファイターと出会った。ルカリオさんだ。

「あっ、ルカリオさん!」
(……ななしか)
「はい、日頃みんなにお世話になってるのでチョコレートです!」
(む、チョコか)

ルカリオさんはそう言って包みを受け取り、それをじろじろ眺め始める。毒とかは入ってないんだけどなあ……。
もしかしてヤバい物でも入れてしまったのか!?と思い、焦り始める。

「も、もしかして毒とか入っちゃったとか……?」
(いや、それはない。早速いただこう)

ルカリオさんは包みをバリバリと破き始める。そしてチョコを1つつまみ、口に入れる。
一瞬だけだが、ルカリオさんがほほ笑んだ気がする。……本当に一瞬だけだけど。

「あれ、ルカリオさん、笑いました?」
(……ああ。お前の作ったチョコレート、美味だな)
「それはよかったです!」
(礼を言う。ありがとう)
「いえいえ。喜んでもらえて何よりです」

ルカリオさんは残りのチョコレートを口に入れる。美味しかったのか表情が柔らかく感じる。
私もつられてほほ笑んだ。それを見ていた他のファイター達が声をかける。

「おや、ななし、笑っているね」
「まあ、実際美味かったしな」
「プリー」
(……他の皆にも配りに行くのだろう?)
「ありがとうございます。じゃあ、また後で」

私はそう言って、ルカリオさん達に手を振った。
まだまだ配らなくきゃ行けない相手はいる。今日中に配り終わるかなと思いながら私は館内を歩き始めるのだった。


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