▼ 3.そんなに泣かないでください、理性が保てなくなる。
※中編主と同じですが中編とは何も繋がりがない
ある日、私は料理をしていた。料理といっても軽いものを作ろうと思っていたからだ。
ファイター達の食事は主にマスターが用意している。私もそれに甘んじていた。
マスターは『君はしなくても大丈夫だよ』といっていたがどうしても料理くらいはしたかったのである。決して料理が上手……でもないがそれでもやりたかったのだ。
私は思い切ってカレーを作ろうと思い、玉ねぎを切る。涙がポロポロ溢れ、目がかすんでしまう。
「痛っ……!」
「大丈夫か!?」
私は思いっきり指を切ってしまった。指からは血が溢れ、あわててハンカチでくるむ。
その様子を見ていたクラウドさんが慌てて飛び上がった。クラウドさんは私の指を掴み、水で流し、そのままバンドエイドを取り出し、私の指に巻いた。
「あ、ありがとうございます……」
「あまり無理はするな」
「……ご心配をおかけしました」
私はこのままカレー作りを続けようとする。と、その時、クラウドさんが私の腕を掴んだ。
そのままクラウドさんの方を見るとクラウドさんは何か言いたそうに黙っている。……どことなしかちょっと怖いが。
「あ、あの、クラウドさん、離してください」
「いや、このまま俺がやろう」
「クラウドさん、料理とかできるんですか?」
「……あまりしたことないな」
「なら、私が……!」
私は玉ねぎを掴み、切ろうとする。が、やはり涙腺に触れ、涙が止まらなくなる。
このまま包丁を置いて目を洗おうとする。そこでクラウドさんが何かつぶやいた。
「……そんなに泣くな」
「えっ、あっ、はい……」
「……俺の理性が保てなくなる」
「え、今なんと……?」
「すまない」
「うわあ!」
クラウドさんはそう言って私を抱きしめた。急なことだったので頭が真っ白になる。
私が泣いたのを見て、理性が保てないと呟いていたとはいえあまりに急すぎる。今のクラウドさんは理性が飛んでる状態なのかと思ってしまう。
私はこのまま顔が赤くなり、そのままフリーズしてしまう。クラウドさんはそんな私を見つめ、頭を撫でた。
「……ななしは柔らかいな」
「……」
「俺がこうしたいだけだ、気にしないでくれ」
「い、いや、気にしますから……」
クラウドさんはこのまま抱きしめ続けた。
私もまた、そんなクラウドさんの胸の中で落ち着かせるのだった。涙はもうとっくに止まっているにも関わらず。
その後、一部始終を見ていたファイターからからかわれたのは言うまでもない。
3.そんなに泣かないでください、理性が保てなくなる。
お題:確かに恋だった
戻る