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柳蓮二とは、中学での付き合いだった。
中学の3年間、ずっと同じクラスだった。最初はこの人に対して何も興味がなかったが、学年が上がるにつれ、また一緒のクラスだ……というように思った。そうして結局3年に上がる頃には、お互い認識はする存在となった。
彼はテニス部に所属していた。うちのテニス部は強豪中の強豪で、全国2連覇を成し遂げていた。柳はその中でも一際抜きん出た技術を持っていたらしく、1年の頃からずっとレギュラーで試合に出ていた。
対して私は、彼らが勝ち進んだ大会に応援に行く、ただのいち生徒だった。クラスは一緒でも特に用がなければ話はしないし、つるむこともない。保健委員をやっていたからたまに保健室で見かけることはあったけど、でもその程度。よくある恋愛小説みたいに怪我の手当てなんかしない。そういうのは保健の先生の仕事だから。
そんな中学の思い出で、ひとつだけ印象に残った出来事があった。3年の時、全国大会で彼らは負けたのだ。柳ら3年にとっては初めての負けだったという。大会が終わった翌日、柳はいつも通りスンッと佇んでいたが、その日ばかりは部活をせずにそそくさと帰って行ったのを覚えている。

私はその時思った。何か、声をかけるべきだったかと。
しかし、呼び止めようとしたのをすぐにやめた。ただのクラスメイトから励ましの言葉をもらっても、別に何も意味はないだろう。
そうして、私の中学校生活は普通に終わった。何事もなく、恋愛も友情もそんなに深くなく終わっていった。高校でもこんな風に過ごすんだろうなと感じながら、卒業証書を貰った。

それが、今から約10年前の話だった。






現在、25歳の霧生ゆず。
朝起きたら、何故か隣に柳蓮二が寝ていた。









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