例えば、願いが叶ったときとか


「おはよー…」





眠い目を擦りながらあたしはまず顔を洗うために洗面台へと向かった。
眼鏡をかけると、部屋の異変に気づいた。

「あれ…………?これ…あたしの家じゃない」

あたしの名前は神崎璃紅。
よし、覚えてる。
あたしは急いで昨日の記憶を掘り起こした。
えーと、お酒は飲んでない、おっけい。
大丈夫、あたしは見知らぬ男の家に泊まっているわけじゃない。
えーと、そうだそうだ、昨日は金曜ロードショーの蛍の墓を見て泣いて、んでそのあとはそのあとは何で蛍すぐ死んでしまうんじゃなくて!!







「あ、そっか、ハリポタの世界に来たんだ!」






蛾を思い出して(本当は思い出したくもないんだけど!うぅ、寒気が)唐突に思い出した。
とりあえず顔を洗って歯を磨いた(歯ブラシと歯磨き粉は洗面台についてあった)。
そーいや今何時だろう?
そう思って部屋を見回してみたけど時計はついていないようだ。あたしの腕時計の針は午後2時28分を指している。
とりあえず何もすることがない為部屋を探索する事にしてみた。



本棚の本を探ってみると、英語の本ばかり(しかも難しそうな!)で読む気が失せた為(どうやらヴォルデモートさんは会話の時の翻訳魔法はかけてくれたみたいだけど、書く方の翻訳魔法はかけてくれなかったらしい)本棚には手をつけないことにした。
クローゼットの中を探ってみると、服は一枚も入ってなくて、ハンガーだけがかかっていた。
机の上には数冊の教科書っぽい本。そして羽ペンとインク。
机の一段目の引き出しを開けてみれば何やら妖しげな道具がいっぱいあったため急いで閉めた。

「絶対呪いのグッズ系だったし」

二段目の引き出しには書類やらが入っていて、これはいじっちゃだめだと思い閉めた。
三段目の引き出しにはAVらしきものがずらり。

「あ、卿もこんなもの見るんだ………」

そのうちの一枚を見ていると背後でガチャリと言う音が。
振り返ってみると扉のところには赤目の人が。

「あ、ヴォルデモートさんおはようございますついでに何時です?」
「…………」

ん?スルーですか?
ヴォルデモート卿はあたしのところまでずかずかと歩いてきて、手に持っているAVらしきものをひったくった。
あ、やっぱAVなんだ。っつーか卿のなんだ。
引き出しにAVをしまって卿はまた扉のところに戻った。ヴォルデモートさんはあたしのことをじっと見たまま動かない。

「それにしてもヴォルデモートさんもやっぱ人の子なんですね」
「………………」

話しかけてみてもじっとあたしを見つめているままだ。

「え、もしかして顔に何かついてます?」

慌てて顔をまさぐってみた。

「お前、昨日のうちに何かしたのか?」

その質問に手を止めてあたしは卿の顔を見た。

「え?あのあと普通に寝ましたけど…、え、どうしました?急激に可愛くなったとか?うわ超嬉しい」
「安心しろ誰もお前の顔が可愛いと言う眼科が必要な輩はこの屋敷にはいない」
「ひっど!妙に長ったらしい感じが更に酷い!」
「貴様から魔力が感じられる」
「てかヴォルデモートさんって毒舌だy………え?なんて?」






……………。


え?
聞き間違い?

「昨日は隠してたのか?」
「え、ちょ、まじ?魔力ある感じ?え、ねぇ本当!?」

コクリ。
頷く卿。
え、これってまさかのまさかで昨日の夜かけた願いが叶っちゃった感じ?いやまさか。

「え、まじで?」

再度問う。
また卿は頷いた。

「あたしって、すげー…」

思わずつぶやいた。
二回連続でまさか願いが叶うなんて思ってもみなかったよ。

「え、じゃあこのAV卿の?」

聞いてみた。
卿はというとそっぽを向いて黙ってしまった。

「あ!じゃあ杖買いたいなぁー、なんて」

思いつきで言ってみて自分なりに可愛いっぽい感じのポーズをしてみた。
鼻で笑われた。

「うわああああああああ今の可愛いかなーとか思っちゃった自分が恥ずかしいいい」
「いつか買いに行くか」
「あああだってだって可愛いかなーなんて…ん?今買いに行くかって言いました!?買ってくれるんですか!?」

コクリ。
本日三度目の頷きだ。

「やったー!え、え、ちょ、やったね!買ってくれるんですよね!?ダイアゴン横丁ですよね!?オリバンダーの店ですよね!?てかノクターン横丁にも行ってみたい!!」
「俺様は一緒には行かんぞ」
「えぇッ!?嘘だッ!じゃあ誰が一緒に来てくれるんですかァッ!?」
「ルシウスにでも頼んでおけ」
「ぎゃふんッ」

そりゃールッシーとダイアゴン横丁も楽しそうだけどぉー…。

「やっぱ卿と行ったほうが楽しそうだよー」
「俺さまがノクターン横丁ならともかくダイアゴン横丁などに行けると思うか」
「思いましぇえーん」



ヴォルデモートさんがギャンボル・アンド・ジェイプスいたずら専門店で商品を見てるのを想像してやっぱり似合わないと思った。


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