俺の隣の席は、彼女である名字名前だ。彼女は所謂、ツンデレだ。

「…?」

腕を何かに突かれて、船を漕いでいた頭が冴え始めるとタイミングよく先生に当てられた。

「…名前、ありがとう」
「……松川が起きないと私が当てられるから起こしただけ」

この先生は確か隣じゃなくて前後に当てる人だったはず。だけれどそこを追求するといつもの倍以上のツンを出されるから黙っておこう。

「まっつんてさ、名字ちゃんのドコが好きなの?」
「…ドコって…全部だけど?」
「おー言うね!でも名字さん無愛想…いや無口と言うか…」
「花巻、本音出てるからな」
「…でも松川と名字って付き合っている雰囲気無いよな」

散々言われているが仕方ない。周りに人が居るときに、甘えてくることがないからそう見えても仕方ない。

「まっつんさ、告ってきたあの子どうしたの?」
「あっあれだろう?ぽわぽわしてる…」
「松川」
「あっ名前、どうした?」
「…日直だから授業前に資料取りに行ってだって」
「マジか。じゃあ行くか、じゃーな」
「…バイバーイ……やばっ口滑らせたよね?」
「でも名字さん気にしてる素振りなかったよな…」
「…大丈夫じゃねぇか、多分」

ふたりで資料室に向かったのはいいものの、さっきの事に関して何も触れてこないのは気にしてない…いや逆な気がする。

「…ねぇ…告白されたの…?」
「…おう。ちゃんと断ったから」
「…ふーん…」
「……」

名前の顔は見えないけれどこれは気にしている、というかこれは拗ねているな。

「名前」
「…何?」
「ごめんな?ちゃんと言わなくて」
「……いいよ…でもこんな所で抱き締めないで」
「大丈夫、誰も来ないし鍵閉めちゃったから」
「…変態」

それでもいいよと名前のおでこにキスをすると、俺の胸を叩いて来たけれど、耳が真っ赤になっているしこれは照れている証拠だな。

「名前は日誌書いておいて」
「うん」

放課後の教室に居るのは日誌を書く名前と黒板を消す俺だけで。名前の隣に座って書かれていく日誌を見ていると[松川一静]と俺の名前が丁寧に書かれていて。

「名前、消しゴムとシャーペン借りる」
「……私はいつから松川名前になったの」
「いいじゃん」
「…まだ名字だよ」
「まだって事は、いつかは松川になってくれるんだ?」
「…一静がいいなら私はなりたいよ」

俺を真っ直ぐ見つめる名前が愛しくて。周りに何と言われようが、俺は名前の中々素直になれないところも含めて好きで。

「名前、好きだよ」
「…私も一静が好きだよ」

微笑む名前の手を握って、夕日に照らされた教室で優しいキスをした。

弥生様 [隣の席のツンデレ彼女]という事だったので。ツンデレ要素があんまりない上にデレが少ない…!すみません…!ふたりきりの時は素直になる名前ちゃん。家だと甘えますね、はい!リクエストありがとうございました!(御井)




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