「飲み物決めろよー!」

俺ビールで!俺も!俺はカルーアで!俺シャーリーテンプルで。それノンアルだろう?!と聞こえる話し声が凄く遠くに聞こえて。自分が凄い緊張しているんだなと改めて思わされた。

「おい、大丈夫か?」
「…岩ちゃーん…!ヤバい、かも」
「…ったく…こういう時のお前は本当ビビり川だな」
「ビビり川って!?くそ川でもないの?!」
「言えなかったらくそ川って呼んでやるよ。…それより名字はどうした?」
「名前ちゃんなら仕事で遅れるだってーそれより!お前ら飲み物は!?」
「俺知らない!…ウーロン茶で」
「幹事の花巻に連絡する辺り律儀だな。俺は生」
「及川、ウーロン茶って体調悪いのか?」
「…いや…ちょっとね…」
「空気読めよ!」

俺だって呑みたいよ!という言葉を飲み込んで、とりあえずだから!とマッキーに返して鞄の中に入れてある小さな箱を確認した。

「…遅れましたー…!」
「おっ来た来た!名前ちゃんお疲れー!」
「名前さん!お疲れ様です!」
「お疲れ様!遅れてごめんねー…!」
「名字、ここ空いてるぞ」
「ありがとう!…あれ?徹、ウーロン茶なの?」
「…まぁねー…名前はどうする?」
「私、生ビール!」

仕事忙しかったのか?うん、ちょっとトラブルもあってバタバタしてたんだ。名字、生来たよ。ありがとー!じゃあもう一回乾杯するか!というマッキーの声にカラになりかけたグラスを持ち上げた。

「じゃあ及川よろしく!」
「俺…!?」
「よっ!元主将!」
「それ言ったら矢巾もそうだよ」
「…えーっと…お前ら呑んでますか?!」
「「「うぇーい!!」」」
「一年お疲れ様でした、嫌な事は忘れよう!でもその前に!」

何だなんだー!?及川さん何ですかー?という声を聞きながらゆっくり深呼吸して

「名字名前さん…!」
「ん…?!えっはい…」

あぁ死にそうだ。名前の横にいる岩ちゃんの無言の「男だろう言えよ」という威圧感が凄い。俺だって言うときははっきり言う、人生で一回、名前以外に言うつもりのない言葉と、名前以外に渡すつもりのない指輪を差し出した。

「俺と結婚してくれませんか?」
「………」

シンとする部屋と、俺の心臓が反比例しているみたいで。名前は驚いた顔をしていたかと思うと、目に涙を溜めながら笑って

「…はいっ…よろしくお願いします…!」
「……本当…?」
「及川!マジかよ!!」
「おめでとうございます!」
「及川さんんん!名前さんんん!」
「…何で金田一が泣きそうなわけ?」
「だって…!及川さんと名字さんが…!」
「…だから及川はウーロン茶頼んだわけか」
「名字、本当にコイツでいいのか?」

岩ちゃん!?なんて事を訊くのさ!なんて言ってみるものの、本当に俺なんかでいいのか不安になってきた。

「うん。徹がいい…徹じゃなきゃダメ、かな」
「…ーっ…名前…!」
「わっ!…ちょっと…!」
「名前、これからもよろしくね」
「…こちらこそよろしくお願いします」
「では!及川と名前ちゃんに!」
「「「乾杯ー!!」」」

この後の事は殆ど覚えていないけれど、名前が嬉しそうにしていたことだけは覚えている。

アズサ様 青城メンバーでわちゃわちゃ忘年会or新年会という事で、忘年会にしてみました!一年の締め括りでやってくれる男・及川だと思っています(笑)この後、及川は岩泉松川花巻に潰されて目が覚めたら名前ちゃん家という感じです(笑)リクエストありがとうございました!(御井)





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