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05



「…あ、」

「ん?」


控えめに発せられた声がした方を向けば、そこにいたのは沢田だった。


「よ。お前も今帰りか?」

「うん。でも意外だなー。黒瀬君は風紀委員会で遅くまで学校に残ってるんだと思ってたから」

「いや、まず俺風紀委員じゃねェし」

「え!?」


沢田と並んで道を歩いていると、彼は驚いたように立ち止まって此方を見ていた。よく間違われるが俺は決して風紀委員ではない。ただヒバリの顔が好きで応接室に顔を出しているだけだ。
そう言ったら沢田は、黒瀬君すごいね…、とどこか残念なものを見る目で俺を見つめてきた。失礼だな。事実だから仕方ないだろ。
その後はお互い共通の友人である山本の話、沢田に懐く獄寺の話、ヒバリの理不尽さなど他愛のない話で盛り上がった。


「…ん、おい見ろよ沢田」

「え?」

「なんかあの家の周りにヤバそうな奴等が集まってる」

「うそーー!?あそこって俺の家なんだけど!?」


沢田が頭を抱えて絶叫する。
沢田の家の周りには明らかに堅気じゃなさそうな黒服が沢山。恐らくマフィア関係と言ったところだろう。


「…御愁傷様。頑張れよ」

「待って!見捨てないで!!」

「腕を掴むな!お前の関係者だと思われるだろ!」

「家の前まででいいから!」


沢田は自分はダメダメだというが、俺からしたら可愛い顔をしていると思う。と言っても俺は綺麗系が好きだからストライクかと言われたらそうではないが。兎も角そんな沢田に上目遣いでお願いされたら断れない訳で。


「………家の前までだからな」

「ありがとう黒瀬君!」


一度沢田と顔を見合わせて、黒服達に近付いていく。こんな物騒な奴が居るのなら俺もヒバリみたいに武器を持っておけば良かった。


「あの…すいません、通っていいですか?」

「ダメだ。今は沢田家の人間しか通せないんだ」

「えっ……沢田綱吉…ですけど…」


そう言って沢田が名乗ると黒服達がざわついた。そうして瞬く間に玄関まで通される。
おまけに沢田の友達という事で何故か俺まで沢田家に上がる始末。


「帰りてェ…」

「ご、ごめん黒瀬君。…よかったら夕飯食べてって?」


此処まで来てしまったら仕方がない。俺は沢田の提案を呑んで、二階に上がる沢田の後を追った。