05
彼の部屋に入ると、其処には外と同じような黒服が二人とリボーン、そして部屋に似合わぬ豪勢な椅子に腰掛ける美形。リボーンは俺と目が合うとニヤリと笑った。あ、嫌な予感。
「いよぉ、ボンゴレの大将。はるばる遊びに来てやったぜ。俺はキャバッローネファミリー10代目ボス、ディーノだ」
ディーノと名乗ったその美形は沢田を見ると突然笑い出し、次々にダメ出しをしていく。そんな遣り取りを未だに部屋の入り口に突っ立って眺めていた俺の傍にリボーンがやって来た。
「どうだ、ディーノはお前の好みだろ」
「何で俺の好み知ってんだよお前は。………正直凄い好みだよ畜生」
「本当顔の良い奴に弱いな」
「いやー…ディーノさんの顔マジで良いな。ヒバリが居なかったら今までで一番位には良い」
「キモい」
「自分から話を振っておいてお前…」
「おいリボーン!なんなんだよ、このヤバイ連中は!」
俺とリボーンの会話はそんな沢田の叫びで中断された。
「ディーノはお前の兄弟子だぞ」
「悪りーことばかり言ったが気を悪くすんなよボンゴレ10代目。俺もリボーンに会うまでボスの資質なんてこれっぽっちもなかったんだ」
「え?リボーンに会うまで?て、まさか…!」
「俺はここに来るまでディーノをマフィアのボスにすべく教育してたんだぞ」
「まじでーっ!?」
「リボーンって何歳だよ…」
沢田と同様に俺も驚きで思わず眉を顰めた。只者ではないと感じてはいたが、いよいよ実年齢さえも怪しくなってきたな。
「…ん?そういえばさっきから居るこいつは誰だ?」
此処に来て初めてディーノさんが俺の方を見た。
「こいつはツナのファミリー候補の一人だぞ」
「俺は入らねェっつってんだろ!…黒瀬悠斗、沢田の同級生だ。よろしくな、ディーノさん?」
「おう、よろしく。ところで何で俺は手を握られてるんだ?」
「そいつは美形が好きなんだ。油断してたら食われるぞ」
「食わねェよ」
「(相変わらずだなこの人…)」
ディーノさんの手を握って笑顔を浮かべる俺を沢田が残念なものを見る目で見つめていた。
その後、沢田の家に居候しているという子供二人…ランボとイーピンが乱入し、ランボの投げた手榴弾が外に居るディーノさんの部下たちに向かっていくという事件が発生。ディーノさんは華麗な鞭捌きで見事部下達を救ってみせた。
っつーか何でガキが手榴弾なんか髪の中に隠し持ってんだよ、と思ったらランボもイーピンもマフィア関係の子供らしい。
「あの人カッコイイ…」
「顔も良くて強いとか最高かよ」
「黒瀬君ほんとブレないね…」
「わかったか?ファミリーのために命をはるのがマフィアのボスだ」
「なんでもかんでもそこに結びつけんなよ!!」
結局ディーノさんは沢田の家に泊まっていくことになった。一方夕飯を御馳走して貰うつもりでいた俺はヒバリからの呼び出しに泣く泣く帰ることになるのだった。ちなみにその夜、ヒバリにディーノさんのことを話したらうるさい、と咬み殺された。