(嗚呼、あの寂しげな表情が忘れられない。)
「本当によかったのかい?」
狐は死人に問いかける
『ええ。』
彼女の声が聞こえた気がした
しばらく死体の前にしゃがみ込んでいた狐はやがて立ち上がり
「さて、早く新しい人間を探さなくては。」
そう言って静かに目を閉じる
思い出すのはあの寂しそうな笑顔
そして
『ただ…あなたがほかの人にとりつくのは少し嫌だな…..』
あの言葉
「….やっぱりやめよう。」
もう次の人間は必要ない….
狐は彼女の隣に横たわり目を瞑る。
「おひと好しだなぁ。君も、わたしも….」
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あとがき
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