『お嬢さんの後にいるそれは化け狐だ。早々に祓ったほうがいい』
ある日現れた青年は彼女にそう言った
しかし彼女は狐を祓おうとはしなかった
『構いませんよ。化け狐でも何でも。』
そして笑顔でこういった
『彼は私の大切な友達です。』
青年は困ったような顔をして
『ですが、それはあなたの生気を得て生きているのです。あなたはいつかそれに殺されてしまいますよ?』
と言った
『それでも構いません』
彼女は幸せそうに笑っていた


『本当によかったのかい?』
狐が問う
『ええ。』
彼女は迷うことなく答えた。それから…
『あなたは、私が死んだらどうなるの?』
今度は彼女が狐に問う
『そうだね…そうなったらほかの人間に憑りつくさ。人間の生気がなければ死んでしまうからね。君がわたしを祓うというなら、今からほかの人間を探しに行くが?』
彼女は狐の答えを聞き苦笑する
『祓ったりなんかしない。』
『それで死ぬことになってもかい?』
『ええ。』
『御人好しだなぁ。君は』
そういって狐はからからと笑った
『そうかしら?人はいつかは死ぬのよ。だったら好きな人と最後まで一緒にいたいでしょう?』
彼女はそう言ってから少しうつむいて
『ただ…あなたがほかの人にとりつくのは少し嫌だな…..』
と呟いた




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