神父淫魔7 | ナノ



「んー?何だ?臨也君みたいな淫乱淫魔君が俺みたいな神父さんに何の用事かなぁ?」
ぶちり、と血管の切れる音がして、ああこれは相当怒ってるなと思った。
忘れかけた素数を思い出して平静に戻ろうと必死に思うのだが、それはシズちゃんのオーラとあの香りのせいで阻まれた。
「……あっちぃなぁ……」
シズちゃんは寝巻の首元を寛げ、不機嫌そうに呟いた。火照って上気した肌が露出する。体温が上がったせいでより強く香る体臭と、媚薬のせいで効力を増したあの魅惑的な香りが俺を襲った。匂いが強すぎて満足に動く事もままならず、腰が砕けて立つ事も出来ない。ただされるがまま、髪の毛をシズちゃんに掴まれた状態で中途半端な宙づりになっていた。
計画失敗。直ちに逃げろ。そんな言葉が頭を過るが、そんな事が出来るのならとっくにやっている。
「……ぁ……っ」
魔力を抑えてきたのがここで仇になった。今まで魔力という耐性で保っていた理性が、今では強い精神力でぎりぎり保たれている。しかしそれがガラガラと崩壊するのも時間の問題だった。素数を数え止めてしまったせいで集中力が拡散してしまい、もろに香りの影響を受けてしまう。俺を誘うその香りが俺を発情させているのだ。しかも、それは今俺が盛った媚薬のせいで効力を増して猛威を奮っている。
薬を盛られた事が相当頭にきているのか、シズちゃんは超絶不機嫌だった。まさか良かれと思ってやってきた事がこうまで仇となるとは思ってもいない。
シズちゃんは腰が抜けて立てない俺を床に引き倒し、腰を上げた状態で背中に乗った。背中、というよりも肩甲骨から首にかけてが正しい。息が苦しくて口をあけて喘いだ。
「ぅぁ……っ」
シズちゃんの足の間に顔を出す形になって、むわっと濃い雄の精の香りが立ち込める。匂いだけで感じてしまいそうで、むずむずする両足を擦り合わせた。
「この変態淫魔の臨也君よぉ……?この俺に何しようとしてたんだ?ああ?妙な薬盛りやがって」
「ひゃあっ!?」
シズちゃんが体重をかけて俺を床に押し付けると、俺の勃起した乳首が服越しに床に擦り付けられる。
痛みさえ感じる程強い刺激なのに、そこからじんじんと鈍い快感が襲った。逃れようともがくけれどかけられた体重が重たくて身動きが取れない。
「ひゃぁ、やっ、あぁあ……どいてよぉっ」
「何だよ。淫乱淫魔の臨也君は背中に乗られただけで感じるのか?それとも何か欲しいのか?」
重たくて退いて欲しくて頭を振るが、シズちゃんは聞く耳も持たず俺の耳をゆっくりと撫でた。こそばゆさにぞくぞくして全身が粟立つ。
「ふっ……うぅ……」
シズちゃんの股間からむせ返る程の濃い匂い。それだけで頭の芯がぽうっとして何も考えられなくなる。淫魔という生き物の本能には逆らえない。
これが欲しくて欲しくて、堪らない。気が付くと無意識に両足で擦るように擦って自身に弱すぎる刺激を与え始めていた。
「あー……何だ。臨也君はこれが欲しいのかな?」
不自由な首を捻ってシズちゃんの股間に頬を摺り寄せようとしていると、そう揶揄するような声が頭上から降ってきた。
「そうかそうか。臨也君は俺が神父だろうが何だろうが見境無く盛る発情期の雌猫みたいなクソ野郎だったもんなあ。これが欲しいか?おら言ってみろよ」
上に乗ったまま髪の毛を掴みあげられ顔を股間から引きはがされる。窮屈な体勢に息が詰まった。かひゅかひゅと苦しげに喘いでいると、開きっぱなしの唇から唾液が銀糸のように滴り落ちていく。
「欲し……っ、ほ、しぃい……」
苦しくてもどかしくて思わず本音を口走ると、冷たい嘲笑を浴びせられる。
「やんねーよ」
「ぅあ、あ、ひぃ」
「手前みたいな薄汚い淫魔野郎に誰がやるかよ。チンポなら何でもいいのか?あ?」
シズちゃんが身動ぐ度に翼が変な風に折れ曲がってミシミシと軋んだ。眉根を寄せては、は、と喘ぐ。肺が圧迫されてるのか息が苦しくて堪らない。
「た、すけ……てぇえ」
「あ? 誰に向かって物言ってんだ手前はよぉ」