『美坂家の秘め事』3

「栞は彼氏…ほらなんだっけ…バンドやってた奴」

「あーこの前別れた」

「早くないか?どんだっけ付き合った3ヶ月か?」

「ううん…2ヶ月半」

「ふぅん」

 拓弥は考え事でもしてるかのように顎に手をやって栞を見た。

 だぶだぶのスウェットを着てスッピンの妹の顔を見ながら何かを思いついたように頷いた。

 ギシッ−

 拓弥は立ち上がると栞の前に立った。

「どうしたの?」

 栞は拓弥を見上げながら唇の周りについた塩を舌でペロリと舐め取った。

「ちょっと抜いてくんない?」

「………何を?」

 拓弥の言葉の意味が分からず聞き返すと拓弥はにんまりと笑って指を差した。

 栞はその指の先を見つめた。

 拓弥の指は真っ直ぐに自分の股間を指差している。

 どのくらいの間があっただろう。

「はぁぁぁっっっ!?」

 栞はようやく頭で理解出来たのか素っ頓狂な声を出した。

「キンキン声を出すな…」

 拓弥は嫌そうな顔をして耳を塞いでいたが栞はそんな事はお構いなしだ。

「何言ってんの!寝言は寝てから言ってよ」

「俺は起きてる。いたって正気だ」

 何故か分からないが拓弥は堂々と踏ん反り返っている。

「なんでそんな偉そうなの…」

 拓弥の態度が気に入らず栞はブツブツと文句を言った。

「抜いてくれるなら手でも口でもいいぞ」

「だーかーらー!!…はぁっ」

 栞は情けなくなって来て頭を振った。


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