『美坂家の秘め事』102

 もう声を堪えるのを必死で目をギュッと閉じて眉間に皺を寄せている。

 兄弟が家にいる状況でこれ以上長引かせるのは危険だと拓弥は栞を追い込み始めた。

「ふっ…っ…んんっ!」

 栞は足を震わせながら浅い呼吸を繰り返した。

 中がピクピクと蠢きビクビクと体を揺らし絶頂が近いことを告げている。

 拓弥は指先で一番感じる場所を捉えると引っ掻くように動かした。

 濡れた音が大きく響き溢れた蜜が手をべっとりと濡らしていく。

「ほら…イケよ」

 小さく呟くと花芯に吸い付き唇で擦り合わせた。

 声を我慢出来なくなった栞は体を捩って顔をシーツに押し付けた。

 吸い付いていた唇を離すと空いている方の手で摘めるほど膨らんだ花芯を弾く。

(軽くイッたか?)

 栞はビクンと大きく体を揺らした。

 拓弥は花芯を親指と中指で摘むと爪を立てて真っ赤になった果実を引っ掻いた。

 小さな悲鳴を上げた栞は激しい快感から逃れるように体を揺らしたが拓弥それを許さなかった。

 蜜壷を擦り上げる手を激しくして敏感な果実を中指の爪が乱暴に引っ掻く。

「ンーーーーッ!!」

 四肢を強張らせたと思ったら声を上げた。

 反らせていた体がドサッとベッドに落ちて栞は荒い息を繰り返した。

「栞?」

 体から指を引き抜いてティッシュで指を拭いながら声を掛けた。

「拓…に…」

 どうやら意識を失うまではいかなかったらしい。

 返事が返って来て少し残念に思いながら汗に濡れて顔に張り付いた髪を手でかき上げた。

 けだるそうに顔を向けた栞が目を開く。

 だがやたらと重そうな瞼は今にも閉じてしまいそうだ。

「寝ていいよ。おやすみ」

 髪を撫でながらキスをすると栞の顔が笑顔に変わった。

 すぅっと眠りについた栞のパジャマのボタンを留めながら拓弥は苦笑いを浮かべた。

(で…結局俺はこのゴールデンハンドのお世話になるってか?)

 仕方がないとはいえ何となくやるせない。

 こうなる事は最初から分かっていたくせに自分をなじりながら栞に下着とズボンを履かせた。

(あ…濡れたまんま)

 栞の体を綺麗にしていない事に気が付いたがまた脱がせる気にはならなかった。

 体に布団を掛けると部屋の電気を消し辺りの様子を伺いながらソッと部屋を後にした。

 そして背中を丸めながら真っ直ぐトイレへと向かった。


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