愛情表現 【4】

 ブブブ…ブブブ…

 あ、そんな時間か…

 震える携帯を見て時間がかなり経っていた事に気が付いた。

 ブブ…

 ベッドに寝転がってると耳元でまた震えだした。

「もしもし」

「あ、寝てたんだ、ごめん」

「うん」

 憲ちゃんと話す気分にもなれなくて黙っていた。

「そうやって、また一人で泣くの?」

 びっくりして手で涙を拭った。

「何を言われたの?」

「言ってくれないと、俺も何も言えないべ?」

「自分の体で稼いでこいって…」

 電話の向こうで大きくため息をつかれた。

「もう分かった?そいつがどんな男か」

「でも…」

「でも?好きだから?」

「明日そっち行く。それで気持ちにケリつけて」

「ごめん、今日はこれ以上無理」

 そのまま電源を切った。

 次の日…とても仕事に行けなかった。

 真っ赤に泣き腫らした目はどうにも戻らないし気分も最低。

 プルルル…プルルル…

「大丈夫?」

「憲ちゃん…どうすればいい?」

「とりあえず、駅行って切符買って?」

「なんで?」

「もう会わないとダメでしょ?今から会議だから着く時間メールして」

 駅に着いて改札を出るとニコニコして待っていた。

 なぜかすぐに憲ちゃんだと分かった。

「どこ、行くの?」

 これが憲ちゃんと初めての顔合わせ。

 なのに憲ちゃんは昔からの知り合いみたいに手を繋いで歩き出した。

「俺んち」
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