女々しい俺の恋 【9】
朝の光が顔に当たって目が覚めた。
昨夜あのまま寝たんだな。
着たままのスーツは皺くちゃで玄関には紙袋が昨夜のまま置き去りになっている。
スーツのポケットから携帯を取り出して短くメールを送って小さくため息を吐くとすぐにメールの受信を知らせる音がする。
メールの内容を確認して立ち上がると皺くちゃのスーツを脱いですぐにシャワーを浴びた。
昨夜の迷いはもうどこにもない。
やっぱり俺は愛ちゃんが好きでたとえ彼氏になれなくても愛ちゃんの側に居たいなんて思う女々しい野郎だ。
髪を乾かす時間も惜しんで玄関の紙袋を持つと足早に愛ちゃんのアパートへ向った。
愛ちゃんは俺の想像していた通りの笑顔で喜びを表現しながら俺の心を鷲づかみにした。
「これでいいんだよ…」
「いいわけねぇだろうが」
愛ちゃんの部屋を後にして亘と待ち合わせて一緒に昼を食べている。
休みなのに男二人でランチってのも微妙な感じだが亘は文句の一つも言わずいつも俺の呼び出しに快く応じてくれる。
つい声に出してしまった心の声に亘はすぐに反応した。
「ナルが愛ちゃんの事すげぇ好きなのは分かってるけどさ、お前本当にこのままでいいと思ってんの?」
「あぁ…うん」
「いつまで続けんの?愛ちゃんが結婚したらどうすんの?」
結婚…?
何て重いキーワードなんだろう。
いつかはきっとやって来るだろう現実。で
も俺達はまだ23だしそんなのはずっと先の事だと思っていた。
「もうそろそろはっきりさせたら?」
友達の言葉はありがたい俺が目を背けたいた事を的確に指摘してそしてその力になろうとしてくれる。
「やっぱりそうだよな…」
俺は力なく返事をした。
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