女々しい俺の恋 【3】
高一の冬。
もうその頃にはただの同級生ではなく気心の知れた仲の良い男友達にまで昇格していた。
「ナルちゃん、ちょっといい?」
授業も終わり部活へ行こうとしていた俺を見覚えのあるオレンジ色のマフラーをした愛ちゃんが呼び止めた。
「どうしたの?」
水口成彦。これが俺の名前…そして小宮山愛、これが彼女の名前。
『ナルちゃん』
『愛ちゃん』
いつの間にかそんな風に呼び合うようになっていた。
いつもはサバサバして男っぽい所もあるから『愛ちゃん』なんて呼ばれ方は似合わないのに今俺の目の前にいるのはいかにも『愛ちゃん』と呼ばれるに相応しい顔をしている。
俺は胸の奥がズキンとしてドクドクと心臓が早く動き出した。
愛ちゃんはここではちょっと話せないからと俺を屋上まで連れ出した。
放課後の校庭ではもう陸上部の練習が始まっているのが見える。
俺はチラッとそっちに目をやりながらモジモジしている愛ちゃんの言葉を待っている。
「愛ちゃん?どうしたの…俺部活あるから」
なかなか話を切り出さない愛ちゃんを促した。
本当は部活なんて休んだって構わないくらい愛ちゃんの話が気になって仕方がない。
俺の心は嫌な予感で押し潰れそうになりながら僅かにある期待で心を奮い立たせている。
「あのね…こんな事ナルちゃんにしか…」
意を決したように口を開いた愛ちゃんはまるで子供が内緒話をするように俺の耳に口を近づけて手を当てた。
愛ちゃんの吐く息が耳に掛かってくすぐったい。
こんなに近くに寄ったのは久しぶりで甘いシャンプーの香りが鼻をくすぐり腕には服の上からでも分かる柔らかい膨らみが当たっている。
俺って…やっぱり男だな。
心拍数が上がるよりも顔が赤くなるよりも早く俺のアソコが反応した。
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