『番外編』
節分2010【4】

 膝立ちになって見下ろしていると祐二はまだ抗うつもりなのか大きな黒目で勝気に睨み上げる。

 まだ頑張るの?……そんなに焦らしたら後で大変なのは祐二の方なのに……。

 いつも最後に泣かされるのは祐二で、だから今日もそうなのだと思い込んでいた俺はまさか祐二に泣かされる日が来ようとは思いもしていなかった。

「ほら……祐二、アーン」

 睨みつける祐二の顎を手で支えて先端を唇に近付ける。

 触れるか触れないかほど近くなり祐二の息が掛かると背筋にゾクゾクとした快感が走った。

 その唇をこじ開けて無理矢理ねじ込みたい衝動に駆られる。

 どうしようもない男の性なのか優しくしたい大事にしたいと思うのに、辛そうに顔を歪め涙を流して縋る姿を想像すれば自然と身体の熱が燃え上がった。

 いっそのこと無理矢理口を開かせてしまおう……そう思っていると祐二の口が開いた。

「いい子だね」

 絶対に文句の一つも言われると思っていたのに、やけに素直な祐二の行動に嬉しすぎて疑うこともしなかった。

「ふ……っ」

 先端に熱い舌が触れ思わず吐息が漏れる、さらに温かい口腔に包まれれば気持ち良さに腰が疼く。

 この体勢は視覚的にも興奮する、祐二の茶色がかった髪に指を入れながら力ずくで犯してしまいたくなる。

 それでも少しでも長く味わっていたい気持ちの方が勝った。

 優しく髪を梳きながら祐二の唇の柔らかさ舌の熱さに溺れそうになっていた時だった。

「イッッッ!!!」

 突然襲った激痛に思わず身体が強張った。

 ま、まさか……。

 さっきまでの蕩けるような熱から自身が解放されることも気に止めず祐二の顔を見下ろせば勝ち誇った祐二と目が合った。

「ゆ……祐二……」

「へへっ、ざまーみろっ!! お前の言う通り丸かぶりしてやった!!」

 濡れた唇を無造作に手の甲で拭いながらそう言い放つ祐二に何も言い返すことが出来ず、真っ先に自分が無事なのか確かめずにはいられなかった。

 強烈な痛みだったが血は出ていないことにホッと胸を撫で下ろす。

 それにしても……いつの間にそんな悪知恵を思いつくようになったのか少々腹立たしい。

 優しくしようと思っていたのにこんなことをされては泣かせたくなってしまう。

 どんなお仕置きをしてあげようかと考えていた俺の思考はすぐに止まった。

 さっきの体勢のまま見下ろせば楽しそうな祐二の顔、まるで子供みたいに嬉しそうな顔をする祐二を見ていると毒気が抜けていく。

 お仕置きではなく少し意地悪する程度にしておこうかな、自分の中でそんな結論を出して身体を屈めて祐二に覆いかぶさった。

「じゃあ……今度は俺の番だね」

「へ?」

「お願い聞いてくれたお礼に俺もコレ……たっぷり丸かぶりしてあげる」

 あっという間にベルトを緩めて強引に下着ごとズボンを下ろせば元気な祐二が飛び出した。

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