『-one-』

温泉旅行! P13


 浴衣姿で部屋の中央に座らされると周りを囲まれた。

「陸さん、どういう事っすか」

 みんなからの冷たい視線を浴びながら全身汗だくだった。

(何て言い訳すれば…)

「麻衣さんが露天にいたのは百歩譲っても理解出来ます」

 悠斗がジロッと睨む。

「何で抱き合ってたんですか」

 二人とも返事が出来ずに下を向く。

 チラッと麻衣を見ると顔を真っ赤にしたまま俯いている。

 このまま晒し者にされている麻衣が可哀相で陸は本当の事を言うしかないと腹を括るしかなさそうだった。

「まさか…陸さん無理やり…麻衣さんを…」

 全員が非難する目で陸を見た。

「ち、違う!!無理やりじゃ…」

 そこまで言って思わず口を押さえる。

「じゃあ、合意の上で?」

 墓穴を掘ってしまった。

 顔が熱い足の先まで真っ赤になっている。

「実は…」

 覚悟を決めて口を開くと誠が現れた。

「はい、そこまで〜」

「ま、誠さん…」

「いやぁ…意外な展開で…」

 誠の登場にみんなが肩を揺らして笑っている。

 陸はキョトンと顔を上げた。

「後で麻衣さん連れて来ていじめようと思ってたのに…」

「…え?」

 誠の言葉に麻衣も顔を上げる。

「俺達二人が付き合ってんの知ってますよ?」

 悠斗が代表してネタばらしをした。

 エーーッ!と二人は同時に声を上げた。

「誠さんから聞いてたし…」

「内緒にしとけって言わないと陸は麻衣さんの前だとすぐ態度で出るだろ?」

(図星だ…)

「お前ら…今日も麻衣の事知ってて黙ってたな?」

「当たり前じゃないですか。こんな面白い余興他にないっす!」

 もう我慢出来ないとみんなが腹を抱えて大笑いしている。

「それにしてもあのクールなNo.1がこんなに真っ赤になって」

(悠斗それ以上言ってくれるな…)

「しかも風呂で後ろから抱きついてるとは!!」

「あーもぅ!!勘弁してくれよぉ」

 公認になったのは嬉しいけれど陸のNo.1としての威厳はゼロになってしまった。

(これで麻衣に誰も手を出さなくなら…良かったのかも)

 真っ赤になって顔を上げられない麻衣を見ながら自分はどれだけポジティブなんだろうと呆れていた。

end

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