『-one-』

好きだから空回り P1


 付き合い始めて幸せ絶頂期。

 二人が会えるのは週末の陸が仕事に行くまでの時間と当然店の中だけ。

 それでも会える時はめーいっぱい一緒に居た。

「今度の休みどこ行きたい?」

「海っ!」

 来週珍しく日曜日に休みを貰った陸は上機嫌で麻衣の部屋へ来た。

 来るなりソファの上で麻衣を後ろから抱っこしたままで首筋にうなじにキスを繰り返す。

「陸、くすぐったいよ〜」

「これもくすぐったい?」

 頬にキスをして顔を覗き込むと目が合って二人は微笑み合う。

 些細な事でも幸せが溢れた。

「海かぁ。またご飯でも食べる?」

「前に行った所がいい!」

「じゃあ、そうしよう!って事で…」

 陸の両手がサワサワと麻衣の胸の上を動き回る。

「ちょ、ちょっと待ってー!」

「な、なに?」

 大きい声を出した麻衣に驚いた陸はパッと手を離した。

(今日こそ…今日こそは…陸に聞くんだから)

「陸に聞きたい事があります」

「ハ、ハイ…」

 真剣な麻衣の表情に陸が思わず姿勢を正す。

 麻衣はずっと確認したかった事を今日こそは聞こうと決めていた。

 いつも会う度に聞く前にエッチに突入して聞けずにいたあの綺麗なお姉さんと車の事を…。

「外車はお持ちでしょうか?」

「へ…?」

 突然何を言い出すのかというような顔をしている。

「え…っと、麻衣は外車に乗りたいの?」

「そうじゃなくて、持ってるのか聞いてるのでございます」

「持ってないよ?ってか車アレしかないし」

 そう陸の車は国産の四駆。

 でもあの日隣に綺麗なお姉さんを乗せていたのはシルバーの高級外車。

[*前] | [次#]


コメントを書く * しおりを挟む

[戻る]
「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -