『-one-』
猛アタック P1
二度目のホストクラブ。
昨日と同じように美咲の横には誠がそして麻衣の横には陸が座った。
「麻衣さん、昨日はどうされましたか?急に帰られたので驚いて…何かこちらの不手際で気分を害されてしまっていたら大変申し訳ないと…」
(あぁ…なんて紳士的な人なの?)
丁寧に頭を下げる誠に思わず見惚れてしまった。
「すみません。急に用事を思い出してしまって…」
麻衣が少し恥ずかしげに俯くと陸が肩を抱き寄せた。
「心配したよ。ちゃんと帰れたのか?」
耳元で囁かれるお得意のセクシーボイス。
昼間に散々素の陸の声を聞いていただけにやけに新鮮に聞こえる。
「だ…いじょうぶ」
昨日よりも居心地が良いのか悪いのか分からないけれど場は昨日よりも盛り上がりあっという間に時間が過ぎた。
時計を気にしながら麻衣は美咲に声を掛けた。
「美咲…私そろそろ帰りたいんだけど…」
「そんな寂しい事言うなよ。それとも一緒に帰るか?」
美咲に声を掛けたはずなのに隣にいる陸が返事を返した。
「結構です!」
「遠慮してるのか?可愛い奴だな」
「麻衣と陸くん…急に仲良くなったわね〜」
(ギクッ…)
美咲が麻衣と陸の顔をしげしげと見比べている。
昔から勘のするどい子で隠し事は出来なかっただけに麻衣はドキッとする。
「そうかな?二回目だから慣れただけだよー」
麻衣は出来るだけ自然に誤魔化した。
「ラブラブになったもんね」
素の陸が耳元で囁いてきた。
「なってません…」
「もう照れ屋なんだから…キスもいっぱいしたでしょ?」
ムカッと来た麻衣は陸の足を思いっきり踏んづけた。
「痛ーーーッ!」
「陸くん!?どうしたの?」
美咲が慌てて陸の顔を覗き込んだ。
「な、何でもないですよ…テーブルに足をぶつけて…」
「そう?気をつけてね」
麻衣はベッと舌を出して笑った。
「それじゃ…本当にこれで。今日は楽しかったです」
麻衣は立ち上がって頭を下げると美咲に手を振って店を出た。
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