『-one-』

ホストと車 P11


 その日の午後仲良くディーラーへ向う二人の姿。

「何でパンフレット隠してあったの?」

 仲良く手を繋いで歩いている。

 麻衣の質問に陸は少し顔をしかめた。

「お客さんに車の事バレてさ。車買ってくれるって渡されたやつだったからさ」

「車を…はぁ…本当にホストって車プレゼントされるんだぁ」

 麻衣は遠い目をしながら相槌を打った。

「まぁ…ね。でも断るよ」

「何で?」

「何でって…車二台もいらないし俺外車とか興味ないもん」

 そうなんだ。

 ちょっと…

「残念とかって思ってない?」

 隣を歩く陸が麻衣の顔を覗きこんだ。

 胸の内を見透かされているようで麻衣は慌てて視線を泳がせる。

「お客さんに買ってもらったとしても麻衣は乗せないからね」

「どーしてぇ!」

「麻衣は俺が買った車に乗ればいーの!何か文句ある?」

 別にそれは文句ないけどさ…外車だって乗ってみたいなぁって。

「麻衣ー?」

「ないっ!全然っないですっ!」

 必死に否定する麻衣が可愛くて腕を回して後ろから抱きしめた。

 すれ違う人が顔を赤くして二人から視線を逸らしている。

「ちょっとー!離れてってば!みんな見てるってば!」

「別に俺は構わないもーん」

 楽しそうにはしゃいで麻衣に抱きついている陸。

 こういう所で男のプライドを発揮して欲しいんだけど…。

 麻衣のそんな願いはいつ通じる事やら。


end


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