『-one-』
ホストクラブ P9
朝の街を手を繋いで歩いている。
隣を歩く麻衣を見て陸は優しく微笑んだ。
昨夜は麻衣を守るように抱きしめて眠った。
俺はホストだというのに嫉妬深くて麻衣の事だと周りが見えなくなってしまう。
でもこんな俺自身が実は…結構好きだったりする。
麻衣が陸の視線を感じて顔を上げて笑うのを見て子供のように胸がときめくのを感じて恥ずかしくなった。
「ねっ、お腹空かない?」
陸の切ない気持ちに全く気付く様子のない麻衣は開いているカフェを見つけると陸の手を引っ張って歩き始めた。
やっぱり可愛いってば。
麻衣の後ろ姿を見ながら昨夜の麻衣の姿を思い浮かべて思わずにやける。
先に中に入ってレジの前に立つ麻衣を店員がジロジロ見ている。
可愛いからって見てんじゃねぇよ。
陸はわざと麻衣の肩を抱き寄せると店員に聞こえるように囁いた。
「昨夜激しかったから腹減っただろ?」
「もぅっ!」
麻衣は怒りながら照れている。
店員が視線を逸らした事に陸は満足そうに微笑んだ。
きっと俺に息子が出来たらそいつにも嫉妬するんだろうな…とふとそんな事を思った。
「もう行かないからね」
麻衣は昨夜の紙を細かく切ると陸の手を握った。
陸は自分の手を重ねて麻衣の手を包み込むと二人は見つめ合った。
「でね…お願いがあるんだけど」
麻衣は周りに聞こえないように声を潜めた。
数日後のONEでは麻衣と美咲を囲むと美咲が入れたドンペリゴールドで派手なシャンパンコールをして盛り上がっていた。
end
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