『-one-』
子供なココロ大人なカラダ P9
唇を離した後も余韻を楽しむように顔中のキスをする。
最後にもう一度唇に戻ってくると掬い上げるようにキスをしてようやく離れた。
「すげぇ…えっちな顔」
陸に顔をジッと見つめながら呟かれたのが恥ずかしかったのか顔を逸らそうとする麻衣を陸の手が阻む。
「潤んだ瞳も、上気した頬も、この濡れた唇も…俺を誘ってるみたいだよ?」
「陸がしたくせに…」
不貞腐れるように答える麻衣を見て陸は満足そうに笑って頷いた。
「うん。そうしないと俺だけの麻衣に会えないだろ?」
陸はいつだって麻衣に欲しい物を欲しい通りに与えてくれる。
例えば今みたいな甘い言葉も優しい仕草もそう彼は天性のホストの才能の持ち主…私は時々そんな風に思う。
「もぅ!なぁに言ってるのー」
「麻衣ー!そこは恥ずかしそうにするんだろぉ?せっかくのエロイ雰囲気が台無しじゃんかぁ」
さっきまでの大人っぽい顔からもう少年の顔に戻って口を尖らせている。
私はきっとこんな彼のギャップにはまって落ちたのかもしれない。
「エロイとかそういう言い方しないのー」
「何でぇー!せっかくエロエロ麻衣ちゃんになってくれたのにーブーブー」
お互い顔を見合わせて笑いあって急にふざけた雰囲気に変わってしまったのに二人はお互いを抱きしめる手を緩める事はない。
「ねっ、ベッド行くでしょ?」
言い終わらないうちに陸は麻衣の体を抱き上げている。
「ダメって言っても連れて行くんでしょ?」
返事をしなくても陸の気持ちが手に取るように伝わってくる。
私だってエッチをしたくないわけじゃない、ただ…。
「ねぇ…陸、一つだけお願いしてもいい?」
「うん、分かってるよ」
陸は寝室まで麻衣を運ぶとベッドに下ろして小さなライトのスイッチを入れる柔らかい明かりが陸の顔を照らしている。
「麻衣の仕事のある時はしないよ。お休みの日は襲っちゃうけどねぇ」
「もーぅ!すぐそういう言い方をするっ!」
子供みたいにふざけて笑う陸に体を起こして反論しようとする麻衣を人差し指を立てて麻衣の唇に当てて制した。
「もうお喋りはおしまい」
今度は大人の顔をした陸が微笑むと麻衣も同じように微笑んで目を閉じた。
end
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