『-one-』

引越しパーティ P1


 引越してから一ヶ月くらい経った頃メールが届いた。


【引越partyやりましょう!酒と食べ物は持って行きますよ!じゃあ定休日に行きますね】


 今やメル友の悠斗からのメールだった。

 引越しパーティかぁ…お酒も食べ物も持って来てくれるならいっか!

 次の定休日って…嘘っ!今日?

 陸は何も聞いていないのか慌てて電話を掛けたけどまだ寝てるみたいで電話に出ない。

 今度は悠斗に電話を掛ける。

「もしもしっ!どういう事?」

「麻衣さーん、何か食べたい物とかありますか?」

 電話の向こうで呑気な声を出している。

「た、食べたい物じゃなくって…どうしてこんな急なの!?」

「えー陸さんには言いましたよ?」

「はっ!?いつ?」

「昨夜です」

 昨夜って…今朝私達顔合わせてないんですけど…。

「大丈夫ですよ!全部用意して行くんで、麻衣さんは早く帰ってきて下さいね?」

 ご機嫌な声で言われて仕方なく電話を切った。

 無事に終わればいいんだけどなぁ…。

 麻衣の心は不安でいっぱいだった。

「ただいまぁ…」

「お帰りなさーい!」

 玄関を開けると元気な声が耳に飛び込んできた。

 もちろん陸がこんな風に出迎えるわけがなくて…。

「ゆ、悠斗くん、ただいま?」

 満面の笑みで迎えてくれた悠斗くんに微笑んだ。

「うわっ!マジで可愛い。やっぱり俺麻衣さんの事好きですっ」

「ちょ、ちょっと…」

 抱き付きそうな勢いで私に向かって突進してくる。

 もしかしてもう飲み始めてるの?

「おい、勝手に口説いてんじゃねーぞ」

 奥から慌てて飛び出して来た陸が悠斗を引きずるように中に引っ張って行った。

 あはは…

 これは想像してたよりすごい事になりそう。

 中に入ると10人くらいいて軽く出来上がっている。

「麻っ衣さぁ〜ん!!」

「た、ただいまぁ…」

 テンションの高さに押されながら笑って寝室に引っ込んだ。

 大丈夫かなぁ。

 一人で面倒見きれるか激しく心配になってきた。


[*前] | [次#]


コメントを書く * しおりを挟む

[戻る]
人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -