『-one-』

二人暮らし P3


 お姫様抱っこをして寝室へと私を運ぶ陸の顔は仕事の時には見る事の出来ないちょっとゆるゆるな顔。

 こんな顔見るのって私だけなのかなぁ…なんて思ったらちょっと優越感。

「なぁに?」

 私の視線に気付いたのかニコニコしている。

「ううん、何でもないよ?」

 寝室へ着くとまるで壊れ物を扱っているかのようにそっとベッドの上に下ろした。

 上着を脱いで上半身裸になった陸は細い体の割には筋肉がしっかり付いている。

「そんなに見つめちゃ恥ずかしい…」

 胸の前で腕をクロスクロスさせてまるで女子高生の乙女が恥らうような格好をする陸…。

 ONEへ陸目当てに来ている女の子が見たら幻滅するんだろうなぁ。

「そう言えば陸って意外と力あるよね?」

 陸の細い腕を見ながらふとそんな事を思った。

「麻ー衣?ほっとかれると結構辛いんだけど…」

 ブルブルと言いながら麻衣の隣に横になると右手を首の後ろに差し入れて肩を抱き寄せる。

「…完全に無視か。言う程力があるとは思えないけど?」

 私の髪を撫でる左手に触れて筋肉のついた二の腕を撫でるとくすぐったそうな顔をしてこめかみにキスをする。

「だって…今日も重い荷物平気で持ってたし、それに…いつも私の事抱き上げてくれたりするでしょ?」

 私はそんなに軽い方じゃないし…それなりに結構重いと思うんだよね。

「そんなの当たり前じゃん」

「え?」

 髪を撫でていた手が頬を撫でて指で私の唇に触れ額にキスをすると陸の顔が少し引き締まる。

「俺だって男だよ。何かあれば愛する女を抱き上げて全力疾走だってするよ?」

 ベッドの中で囁かれる愛の言葉はどこで聴くよりも甘くて蕩けてしまいそうになるのは何故だろう。

 真顔で見つめながら陸は恥ずかしげもなく言うもんだから聞いているこっちが恥ずかしくなって顔が赤くなる。

「何かあればって…何もないってー」

 恥ずかしさに思わず茶化しながらふざけて陸の鼻を摘む。

 陸は私の手を取り指にキスをする。

「この世の終わりが来ても必ず麻衣を守って生き残ってみせる」

 あ…陸に見つめられて久しぶりに胸がドクンッとなった。

 陸と出会って知った事…それは男の人でも色っぽい人がいるという事。

 そう今の陸はどんな男の人よりも色っぽく艶っぽいそれなのに誰よりも男だという事を感じさせてくれる。

「り、陸…ありがと」

 上手く言葉にならないのが歯痒くて手を伸ばして陸の首に腕を回してキスをした。

 軽くキスをするつもりだったのに陸の舌が私の唇を誘うように舐めるとすぐにその舌を受け入れる。

「んっ…んぁ」

 まだ外は明るいのにこんな事をしている背徳感みたいなものが二人を昂らせているのかもしれない。

 服を脱がせるのももどかしそうに上着を捲くってブラを上に押し上げると両手で強めに揉まれさっきよりも深いキスをして二人の間の温度が急に上がった気

がする。

 どのくらいキスを交わしていたのかさえも分からない程長く深いキスが終わると陸は名残惜しそうに何度も啄ばむよなキスをしてようやく離れる。

「このまま明日の朝までしてもいい?」

 いつもの悪戯っ子のような少年の目をして私の瞳を覗き込む。

「だ、だめでしょ!まだ荷物片付いてないんだよー」

 すっかりさっきの余韻に浸っていた私もさすがに我に返って慌てて否定する。

「ちぇーっ」

 子供のように口を尖らせるとそのまま胸にチュゥと吸い付いた。

「あぁっ…ん」

 チュポンと音がして陸の唇が離れると私の体から力が抜ける。

「朝までする?」

 何故か自信ありげなその表情に私は目を逸らしながら「しない」と答えると今度は胸の先端へと勢い良く吸い付いてくる。

「あぁ…っ!」

 急に襲った強い刺激に思わず体が反応して背中が反り胸を突き出すような格好になると陸は私の体の下に腕を入れる。

「んー…麻衣の体は朝までしたいって言ってるのになぁ」

「ちょ、ちょっと…ダメだってばぁ…」

 抵抗の言葉はその役割を果たしていない。

 それどころかさらに陸の事を煽っている。

「今日もいっぱい愛してあげる」

 陸の腕に強く抱きしめられて耳元で囁かれるともうそれ以上は何も言えなくなった。


 次の日は激しい倦怠感で片付けどころじゃなかったのは言うまでもない。

end

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