『-one-』

Happy New Year P8


 …決まってる。

 麻衣は陸の言葉に軽く目眩を感じた。

 どうして陸はこうも…自分の考え方で物事を決めちゃうのかなぁ…。

 でも今この状況でそんな事言っても陸が聞き入れてくれるわけがないのも十分承知している。

 チュッ−

 これで機嫌が直るならと麻衣はキスをした。

 その途端陸の周りからは怒りのオーラが静まって瞬く間に嬉しそうな顔をしながら麻衣を抱き上げた。

「ねっ?エッチするでしょ?」

 すっかりご機嫌で満面の笑み。

「後じゃダメ?」

「ダメ」

 抱き上げたまま寝室へと歩き始めた。

「だって明日もお休みでしょ?」

「明日は…麻衣の実家に行くって…」

 急に頼りない声になって陸が言うと麻衣は諦めたように腕の中で大人しくなった。

 明日はいよいよ陸が麻衣の実家へ結婚の挨拶に行く日。

 麻衣をベッドに下ろしたもののさっきまでの勢いはどこへ行ったのかすっかり大人しくなってしまった。

「陸?するんじゃなかったの?」

 少し意地悪な質問だったのかもしれない。

 不満そうな顔の陸が麻衣の顔を見て何か言いたそうにしている。

 麻衣は体を起こして陸の隣に座ると陸の肩に頭を乗せた。

「明日の事?」

 陸は小さく頷いて麻衣の肩を抱き寄せながらキスをした。

「緊張する。だからさ…してくれない?」

 陸はカチャカチャとベルトを外して取り出した。

「はい?」

 麻衣は陸の行動に目を丸くした。

「ね?ほら年も明けたし今年は麻衣ちゃんリードのエッチからスタートって事で!」

「はぁぁぁ?」

 麻衣は陸の手を思いっきり払いのけた。

「いーじゃん!緊張しててこんなに元気ないんだよ?」

 すっかり下を向いている分身を指差している。

「元気ない方が可愛くていいね」

 陸は信じられないっ!とブツブツ文句を言っている。

 麻衣はクスクス笑いながら知らん振り。

 新年明けましてやっぱり相変わらず。

 ラブラブ絶頂期おめでとうございます。

end

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