『-one-』
サンタが僕等の店にやってくる P8
「り、陸っ…」
「んーもうちょっと」
「だめだって…誠さん…」
陸の肩を掴んで体を離そうとする麻衣を片手で掴まえている。
ガチャガチャ−
ドアの向こうで鍵を差し込むような音が麻衣の耳に聞こえた。
「陸、陸…ダメだって…」
カチャン−
「タイムオーバー」
ドアが開いて誠が立っている。
「鍵二つあったんすか?」
悔しそうに呟きながら頭を掻いた。
あーもぅ信じられないっ。
麻衣はちょうど目の前に立っている陸のおかげでこそこそと服の乱れを直している。
陸はギリギリの所で止めると麻衣を隠すように立ったのだ。
「って…開けて入ってくるって信じられないって」
「ノック二回もしただろ?」
「あと少しだったのに」
陸はチッと舌打ちをすると誠は意外そうな顔をした。
「り、陸っ!」
服を直した麻衣が二人の話を聞いて慌てて間に入った。
「ふんっ!麻衣が最初から素直になってたら最後まで出来たのに」
心底悔しそうな顔をしている。
「情けねぇなぁ。せっかくお膳立てしてやったのに」
「お、お膳立てって…」
誠は麻衣に向ってにっこり笑った。
「残念だけどここまで、陸仕事に戻れよ」
「ちぇっ…」
誠に促されて口を尖らせてフロアへ戻ろうと歩き始めたと思ったら体の向きを変えると驚いている麻衣の唇を奪った。
「んっ、んんっ…はぁっ」
気持ちをぶつけるようなキスをして唇を離す。
「おいおい…」
目の前で熱いキスシーンを見せられた誠は苦笑した。
「陸ーっ!」
真っ赤な顔で抗議する麻衣の頬にキスをしてヒラヒラと手を振りながら部屋を出て行った。
「あっ!俺が帰るまでそれ脱ぐなよ?」
出て行ったはずの陸がドアの向こうから顔だけ出して笑った。
二人のクリスマスはまだこれから…。
end
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